2007-09-14

高槻市三箇牧小学校 体育祭の意味


UNRWAの体育のスーパーバイザーは、日本に研修にきているのに、どうして、今のような授業をさせるんだろう、とハムゼがぼそっと言っていました。

今日は、3・4年生合同の体育祭の練習をみせてもらいました。3・4年生は宮城の踊りをするということで、一緒になって練習していました。

ちょうど昨日、和光小学校で5・6年生が北海道のヨサコイ踊りをしているのを見ており、和光小学校も高槻小学校も、なぜ地元である大阪の踊りではなく、遠い地域の踊りをするのかハムゼはだいぶ疑問だったようです。この疑問に校長先生が丁寧に答えてくれました。

”体育といっても単に、体を鍛えるものではありません。宮城の踊りを通して、宮城と大阪の違いを知る、また、宮城の文化を理解することで自分たちの住んでいる地域をより理解することができるのです。子どもたちは、この踊りに入る前に、インターネットや図書館で宮城について調べ、どの場所にあり、どんなものを人は食べ、どんな文化があるのかなどについて調べます。そうやって宮城のことを知り、理解した上で、宮城の踊りを学びます。つまり異文化理解の一貫でもあるんですね。さらに、子どもたちが踊りで使っている扇子は、美術の時間に子どもたち自身が作ったものです。つまり、こういうイベント(体育会)に向けて、宮城の踊りをすることで、体育、社会、コンピュータ、美術など様々な科目が絡み合った学習になるのです。”

この校長先生の説明を聞いて、なぜ和光小学校で沖縄の踊りをするのか、なぜ三箇牧が宮城の踊りをするのかを理解したようです(実際、和光小学校でも校長先生がしっかりこの点について説明してくれていたのですが、ラマダンで集中力がきれていたのか、小さなスリッパで足が痛くて集中できなかったのか)頭に入っていないようでした。


さらに、こういう活動の中にも、Teacher CenterとLearner Centerが組み込まれていることにも非常弐興味を示していました。踊りを習得するには、教師指導の訓練ですが、踊りを作るプロセスの中で衣装や振り付けなど児童の意見を反映させて、修正、改善していく。児童は、よりより踊りを作るために先生に意見をいい、それを教師は反映させて踊りを作る。こういう2つの教授・学習法を組み入れる一例を体育を通して知れることはハムゼにとってもショックが大きく、大きな気づきだったようです。

ハムゼは、このような取り組みにずいぶん興味を示し、こういう取り組みをUNRWAでも積極的に導入し、クロスカリキュラムを促進したいと話していました。

※UNRWAでも、このような体育のイベントがあるのですが、これに参加するのは特定の生徒だけだそうです。UNRWAでの体育のイベントは、完成度の高いものを、つまり美しいことを作ることが目的で、このプロセスで生徒たちが様々なことを学ぶものではありません。しかし、もちろんこれには、社会・文化的背景があり、このようなすばらしい壮大なダンスを見せることで、パレスチナ人としての連帯感や誇りを全体的に共有するためのものだったりするのです。文化の違いによって、体育の捉え方、イベントの捉え方はずいぶん違うようです。これについては、競争(Competition)の考え方の根本的な違いにも現れましたがそれについては後ほど報告します。

No comments: