2007-09-11

寝屋川市北小学校訪問(ハムゼの感想)


今日は、授業をじっくり見たわけではないので、授業内容や教授・学習法については意見できませんが、全体を通して3つのことを学ぶことができました。


一つは、学校の設備、そして、2つめは先生同士の協力体制j、3つめは、学習障害を持った子に対する対応です。


(1)学校の設備について
私たちの学校(UNRWAの学校でもシリアの学校でも)、プールや体育館といった設備はありません。プールにいけるのは、ごく限られた生徒だけで、夏休みの間にお金を払える家族が2日間ほど通えるだけです。ほとんどの生徒たちが泳ぐというチャンスを得ることができません。この学校は工事中で不都合が多いと校長先生はいいましたが、この状態でも、シリアの学校のどの学校よりも設備や管理がしっかりしています。


(2)先生同士の協力体制について

各授業をみると、学習内容は決まっているとは思いますが、教授法が先生によってだいぶ違うという印象を受けました。おそらく、授業の方法は先生の裁量に任されているのでしょうね?私たちUNRWAの学校では、この期間にこれを教えなくてはいけないということが厳しく決められています。そのため、ほとんどの先生が教科書を中心とした授業を行い、その授業方法はほとんどが同じです。カバーしなければいけない内容が多いだけではなく、教え方についても指導をうけるので(スーパーバイザーによって)、その影響を受けているというのも理由です。


様々な授業をみて、学年の先生方が協力している姿をみてとても印象的でした。学年の先生が一緒になってどのように進めるのか相談しているというのを聞いてそれも非常に印象深かったです。私たちUNRWAの学校でももちろん先生同士のコラボレーションはあります。しかしながら、学校間と言うよりむしろ、学校外の先生、つまり教科同士の先生同士です。UNRWAの学校では、4年生から教科担当性になるので、学年で取り組むという考えはあまりありません。


(3)学習障害を持った子に対する対応

今日は、学習障害をもった子の授業をみてびっくりしました。こういう特別クラスがあるということは非常にすばらしいことです。UNRWAの学校はシリア全国で180校ありますが、たった1つだけヤルムーク地区に新しく学習障害をもった子のための学習施設ができましたが、まだほとんど機能していません。学習障害の専門をもった専門家はいますが、先生とどのようにコラボレーションすればいいのか、またどのような取り組みをしていけばいいのか、まだ未知の状態で混乱しています。まだまだほとんどの学校では、統合政策の名のもとで学習障害があっても、普通教室で学習しなければいけないので、先生たちはそういう子たちの対応に追われています。そのため、一クラス50人規模の授業でそういう子たちのケアと授業を同時に進めることは非常に難しいことです。


さらに、児童の態度についても印象深かったです。子どもたちの授業の態度はよく、先生にしっかり従っています。UNRWAでは、5年前に体罰が禁止されるようになり、それから子どもたちは、先生が体罰をしないことを知っているため、授業で悪さをするようになりました。これをコントロールするのは非常に大変です。実際、体罰ができないために先生がコントロールできず困っているという問題は実に深刻です。生徒の保護者は、体罰を与えるように学校に訴えますが、学校は新しくできた方針を守らないといけないので、両親との乖離もあります。子どもたちは、家では体罰をうけても、学校では体罰をうけないので、学校では開放的になり自由気ままにわがままになります。今後、こういう子どもたちにたいしてどのように対応すべきかが課題になっています。


→この質問、疑問に対して北小学校での3つの取り組みを校長先生と野先生が答えてくれました。
(1)生徒の学習共同体(Learning community)を作る。子どもたちが仲間に迷惑をかけたくないとか、協力してやることの大切さ、共に充実感や失敗を共有することを体験させることで、他者との学習の方法を学ぶように促進している。
(2)教師の工夫
学習に集中できない子たちはいつも動機(モチベーション)に問題があります。そのため、学年の先生たちが集まって、どのように生徒たちの動機付けをするか、また、どのように勉強したくなる学習環境を整えるのかについてについて議論し、工夫をこらしています。
(3)教師の協力
一人の先生だけでやるのは大変なので、先生同士の協力によって様々な工夫されています。
3時間以上のディスカッションの時間をもち、ハムゼにとっても非常に有意義で、日本の学校を知るいいスタートを切れたのではないでしょうか。

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