2007-10-31

フェアウェルパーティ


今日は、ハムゼは、関西大学に来て、データの整理、お世話になった人へ挨拶などをしました。津島小学校はテレビ会議を通してハムゼとお別れをしてくれました。


夕方は、関西大学の学部生、院生が久保田先生宅で料理を作り、ハムゼのお別れパーティをしました。忙しい毎日で、ゆっくりみんなと話す機会もなかったのですが、最後の最後でみんなとのゆっくり話ができたと思います。


最後は久保田先生から、関西大学での研修のそうまとめとして、修了書を出していただきました。ハムゼ氏の日本研修は、ハムゼ氏だけでなく、周りの人たちにとっても刺激になり、勉強になったと思います。ハムゼ氏が日本で学んだことをUNRWAの学校でしっかり貢献できればいいなと思います。


ハムゼ、お疲れ様でした!!!!!

2007-10-30

インストラクショナル・デザインのワークショップ2日目

2日目は、インストラクショナル・デザインの研究分野でトレンドになっているものをいくつか紹介してもらいました。また、構成主義IDに基づいたワークショップと、パフォーマンス・インプルーブメントの動向についてもワークショップを通して学ぶことができました。

今日の午前プログラムは次の通りでした。
1)Performance Improvement
2)Knowledge Management
3)Electronic Performance Support
4) E-learning
5) Learning Objects
6) Informal Learning
7) Constructivism
8) Learning Sciences
9) "Whole task" Instracutional Design Models
10) Measurement and Evaluation

今日の午後のプログラムは次の通りでした。
1)Constructivismの学習環境の中での学習体験ワークショップ
  Jesperの教材を利用した共同学習
2)Century21の企業におけるPerformance Improvementの事例から
  カークパトリックの4段階評価
  Non instracutionとInstructionの組み合わせかたなど

今日も、非常にたくさんのことを学ぶことができました。
ランチの時間に、私とハムゼ、リーサー先生と少しフリートークをする時間があったのですが、結局、今の研究者は、客観主義IDか構成主義IDと二項対立で物事を考えがちだけれど、ガニエがいうように、どちらかではなく、どう組み合わせるのか、どう統合させるのかが、今後の新しいIDの可能性を開くといっていました。それについては私もハムゼも賛成の意見でした。

ワークショップ後、大阪へ帰りました。大阪についたのは11時過ぎ。ハムゼの日本での研修は今日が最後になりました。おつかれさま!ハムゼ!!!

2007-10-29

インストラクショナル・デザインのワークショップ1日目

ワークショップが始まりました。
朝10時から夕方5時のワークショップです。
本日の内容は、以下の通りでした。
1)IDの歴史(2時間)
2)メディア教育の歴史(2時間)
3)IDの定義の変化(1時間)

 もともとインストラクショナル・デザインというのは、マルチメディア教育、Audio visual mediaといわれていました。ところが、メディアというとテレビやラジオを示し、それを利用した教育に限定された研究が進められ、そこに疑問が投げかけられました。メディアとは何か?そこで、新しい考え方として、”人”もメディアだと捉えられるようになり、人を含むメディアをどう利用するかというところで研究が進められるようになりました。そのころには、Instructional technologyと名前が使われていました。ところが、Technologyというと、技術を利用した教育という風に誤解されることがありました。そこで、デザインを含む授業設計ということで、Instructional design and technologyといわれるようになったのです。日本では、Educational technologyとかInstoctional designともいうという話もしてくれました。
 このようにIDの歴史を振り返ってみると、どのように定義や名前が変わっていって、どういう研究がされるようになったのかが分かり非常の面白かったです。

2007-10-28

阿蘇山観光


今日は、阿蘇山に行って来ました。


世界一のカルデラを持つ阿蘇山は、想像をはるかに超えた絶景でした。ハムゼも私もとても感動しました。火山口は、中から出てくる煙の方向により、火山口に立ち入ることもできなくなるのですが、今日は天気と風に恵まれ、火山口を目で確認することができました。

その後も、熊本で有名な場所をいろいろ案内してもらい、鈴木先生やリーサー先生とも仲良くなれ本当に実り多い一日になりました!!

夜は、地獄温泉で宿泊。ハムゼは、人生初の温泉に挑戦!他の人と裸で一緒にお風呂に入ることが宗教上禁止されているので、家族風呂で一人で入りました。お風呂に上がってからも、しばらく「硫黄ににおいがする」といっていましたが、初の体験にとても感動していました。

夜は、名古屋から来た企業の人や日本福祉大学の影戸先生、そして鈴木先生や松葉先生、リーサー先生といろいろ話をして親睦を深めていました。

2007-10-27

熊本へ


今日から4日間熊本へ出張です。
米国のフロリダ州立大学からIDの歴史で言えば第一人者とも言えるロバート・リーサ先生が来日され、熊本大学でワークショップをされるということで、それに参加させてもらうことになりました。

ワークショップは月曜日と火曜日の2日間なのですが、日曜日にリーサー先生と一緒に阿蘇山にいくというので、ワークショップをコーディネートされている鈴木先生のご好意に甘えて、私たちも阿蘇山観光に同行させてもらうことになりました。

今日は、朝10時にハムゼと新大阪で待ち合わせをして、その後、博多取替えで熊本へ。
ハムゼにとって、新幹線は日本で最も感動したことの一つらしくて、外の景色を楽しみながら移動していました。月曜日からはじまるワークショップのため、2つの論文を電車で読み、熊本についたときには、「目が痛い」と言っていました。

熊本についてから、リーサー先生と鈴木先生と合流し、ホテルへ。とても素敵なホテルで、旅の疲れを癒すことができました!

2007-10-26

ビデオ視聴

今日は、ハムゼにとって関西大学で最後の研修です。

今日は、ハムゼの理解を強化し、今後のシリアでの活動をフォローアップできる活動を2つしました。
1)三宅先生の授業で撮影したビデオを見ながら、他者に説明できるようにする。
2)オーストラリアでシンキングツールがどのように利用されているか、その具体事例をビデオでみる。

1)三宅先生の授業で撮影したビデオを見ながら、他者に説明できるようにする。
今日は、古川さんが愛知県からわざわざきてくれて、ハムゼの今日の活動を支えてくれました。
三宅先生の授業実践のビデオも古川さんが編集して、わかりやすいようにまとめてくれました。
そして、彼がシリアで他の先生に対して研修する際に間違ったことを言わないか、確認するため、ビデオを視聴しながら、他の院生に説明してもらうといったアクティビティもしました。

2)オーストラリアでシンキングツールがどのように利用されているか、その具体事例をビデオでみる。
高次思考力についての研究を進めている黒上先生から、オーストラリアでシンキングツールをどのように利用しているのかという具体事例の入ったビデオをお借りして、それを視聴しました。三宅先生のクラスでも、実際に児童がシンキングツールを使っているところも見せてもらい、だいぶイメージもついたようでしたが、また中学生を対象とした利用の仕方もビデオで学べてよかったようです。

明日からは、熊本でインストラクショナルデザインの研修に参加します。インストラクショナルデザインで有名な研究者、鈴木教授がワークショップにご招待してくださいました。今回は、アメリカから、インストラクショナルデザインの歴史については第一人者であるロバート・リーサ教授もこられるということで、とても勉強になりそうです。英語でのワークショップなのでハムゼも安心して参加できると思います。

2007-10-25

シンキング・ツールの冊子修正

完成したはずのシンキング・ツールでしたが、よく見るといろいろミスがあったようです。
ハムゼは、細かい修正をして、今度こそシンキング・ツールの完成版を作れたようです。
これに多大なる貢献をしてくれたのは、関大大学の今野君でした。
(今野君、ありがとう!!!)

今野君いわく、アラブの人は一般的に雑なのか、図表の線の太さが違ったり、ずれていたり、レイアウトが統一されていなくても「マーレイシュ(気にしない!)」というそうです。確かに・・・とうなづけるところはかなりありますが・・・。

そこで、やはりいろんな学校に配布するのであれば、ちゃんとした物を作りたい!作るべきだ!ということで、今野君が細かい修正をすべてしてくれ(ハムゼは誤字脱字の修正)、完成バージョンができたというわけです。

1日丸々かかりましたが、今回は二人のいいチームワークでいいものが完成してよかったです!

2007-10-24

UNRWA教育部長への報告

今日は、UNRWAの教育部長とテレビ会議をし、研修の成果などを報告しました。

シリアに帰ってからも、もちろん上司や同僚に対して報告会があるのですが、シリアに帰る前に事前に確認したいことなどもあったので、テレビ会議をしました。

UNRWAの教育部長は、これまでUNRWAと日本の共同プロジェクトの中でテレビ会議を利用していたことは、聞いていたのですが、自分で実際にテレビ会議に参加するのは初めてでした。実際に自分が遠く離れた日本の人と話してみて、楽しかったようです。

ハムゼも、教育部長にしっかり自分のやっていることを報告できて嬉しそうでした。また、ハムゼが日本に研修に来ている間、2つの学校(三箇牧小学校と津島小学校)が、UNRWAとの交流学習を持ちたいと申し出てくれたため、それを教育部長に報告すると、非常に喜んでいました。

UNRWAは、日本との交流をこれからもどんどん持っていきたいと考えているし(UNRWAシリアのDirectorであるパノス氏の意向)、日本にとってもパレスチナ難民との交流を持つということは、地球的規模の学習をする上には非常にいいきっかけです。

以前も、東京大学で実施された人間の安全保障に関する講演でも話されていたように、政府レベルでの対話ではなく、地元レベル、教育レベルでの対話もこれから必要だということでした。今回、これまでの4つの学校に続き、2つの学校がUNRWAとの交流をするということは、ある意味人間の安全保障に貢献できるのかもしれません。

2007-10-23

研修の成果発表

今日は、ハムゼに研修の成果の発表をしてもらいました。

ポイントは以下の通りです。
1)本研修内容
2)特に何を学ぶことができたのか。
3)研修で役に立ったこと
4)どのように研修したことをUNRWAの教育に適応できるのか
5)アクションプラン

25分ほどのプレゼンに15分ほどの質疑応答でした。

これまで授業見学や新しことをやった後は、これでもか!というほどディスカッションして理解を深めてきました。しかしながら、社会的・文化的に影響された根本的な考えの違いに私自身もかなり葛藤がありましたが、今日のハムゼの発表をきいて、この研修が実に彼にとって意味深かったのか確認できました。私自身も、彼自身がこれほど多くのことを学んでくれたということを知って非常に感慨深かったです。

ハムゼさん、この3ヶ月本当にお疲れ様でした!

2007-10-22

シンキングツールのアラビア語冊子を完成

ハムゼが日本に研修に来て、最も興味を示したひとつ「シンキング・ツール」のアラビア語版冊子ができました!

毎日、関大での研修後、家でも冊子作成のため作業をしていたので、印刷された完成バージョンをみて、涙がでそうになっていました。

シンキング・ツールは、教育のさまざまな場面で利用できるため、今後どういう展開をするかが楽しみです。私は、シンキングツールを日本の学校で普及させたいといろいろ活動をしているのですが、もちろん多くの課題を抱えています。”考えさせる”ということを理論や根本がわかっていないと使えないので、シンキングツールを配布するだけでなく、どう使うことができるのという具体的な事例や授業案を出していければと思います。同じ、教育における思考力育成をシンキングツールを使ってやっていこうという共通点ができたので、ハムゼがシリアに帰ってからも情報交換しながらフォローアップしていきたいです。

2007-10-21

だんじり祭り見学

今日は、ハムゼにとってひさびさの休暇ということで、大阪府富田林のだんじり祭りを見学に行きました。

ハムゼは、日本の多くの場所で、西洋化された日本をみて、日本は独自の文化をどう守っているのか、という話などもしていましたので、今回地元の人たちが協力して文化を守っていく姿をみれたのはすごく感慨深かったようです。

だんじりを引いている若い青年たちに積極的に声をかけたり、祭りの様子や出店ですいぶん楽しめたようです。

午後は、WEB制作についてわからないことを以前WEB研修を担当してくれた美貴子さんに質問したいということで、その時間をとりました。WEB制作にも、非常に興味を示しているので非常に熱心に質問していました。この経験が、シリアで先生同士のコミュニティを支援する何かの助けになればいいと思います。

2007-10-17

1年生国語 ”くじらぐも”

今日は、1年生の授業も見せてもらうことになりました。
担任のT先生は英語が堪能で、事前に今日取り扱う話である”くじらぐも”をすべて英語で訳してくれていたため、ハムゼも授業の内容が把握しやすかったようです。

【授業の流れ】
1.全員で本を読ませる
2.今日取り扱う場面を取り上げ(子どもたちがくじらぐもに乗って空から町を見下ろす場面)、その場面で子どもたちが何を感じたのかについて”想像”させる。
3.ワークシートを配布し、吹き出しをつかって、子どもたちの心情を書かせる(5分)
4.聴覚、視覚、嗅覚、触覚の4つの視点から子どもたちの心情を考えさせる。
5.もう一度、2に戻って、もう一度心情をかかせ、2と5を比較させる。
6.場面の分析の際、視点を決めて書くとよいことをまとめる。「さっきより、ずっと詳しい心情をかけるようになったね。」

【着目した点】
1)発問と思考
本を読ませたあと、「先生は今日みんなの読み方が上手だと思った理由が2つあります。それはなんだと思いますか?」と自分たちの読書の何が良かったかを自己分析させていた。

2)ひらがな表と書く練習

3)ワークシート ”吹き出し”を利用

4)間違いの修正は全体の前で

5)新しい単語がでてきたら、一つずつ確認
 「家と建物の違いは?」、「村と町の違いは?」、「森ってなんですか?」といったように、児童から出た考えのうち新しい単語があれば、一つずつ確認させていた。

6)解釈が入った場合、なぜそのように解釈したかを説明させる。

7)視点を決めて考えさせた後、もう一度同じ場面を分析させ、Before,Afterの違いを児童自身に振り返りさせていた。

津島小学校 学校訪問 3日目

今日は、津島小学校学校見学3日目です。
今日も大変勉強にある授業を見学させてもらうことができました。その詳細についてはあとで報告します。まずは、今日のスケジュールを・・・。

【今日のスケジュール】
★2校時(9;40~10;25) 1-1田邊学級 国語
★3校時10:55~11:40 5-4 国語討論準備
★4校時11:45~12:30 5-4 算数参観
★給食は、2組の岡崎学級で。
★5校時(14:00~14:45)・3年総合の参観 多目的室でシリアの話
★子どもが下校した後、ハムゼとディスカッションおよび交流のプログラムについて調整

2007-10-16

UNRWAのGlobal Educatioについて

ハムゼの日本に来たミッションの一つは、日本のLCAや総合学習の経験をUNRWAのGlobal Educationの取り組みの中に適応、普及させていくことです。

そこで、UNRWAのGlobal Educationについて少し説明をします(ハムゼの説明より)

【Global Educaitonとは】
UNRWAは2000年からGlobal Educationのアプローチを教育に組み込んでいくことを決定しました。もともとこのGlobal Educationという考え方は、カナダがシリア政府に対して資金援助したプロジェクトです。プロジェクトが終了した後、シリアの学校ではほとんど忘れ去られているようですが、UNRWAはこの取り組みが非常に教育で必要であると考えました。そこで、プロジェクトが終わってからも引き続きGlobal Educationを推進しています。

もともと、カナダによって紹介されたGlobal Educationでは、民族間の紛争や戦争、異文化不理解の解消を目的としていました。しかしながら、イスラエルとまったく仲良くする気のないシリアはそのコンセプト)は取り入れることができなかったのですが、そのアプローチに関しては意味を確認することができたため、教育に取り入れることを決定しました。Global Educationのアプローチというのは、今私たち関大がシリアで実施しているLearner Centered Approachと類似しているものです。

例えば、協調学習やグループ学習を取り入れることによって、仲間たちと問題解決したり、課題(Task)を仲間同士で取り組み、信頼、自尊心、尊敬といった情緒面の育成も図っています。また、評価も教師によってされるのではなく、自己評価や他者評価を通してメタ認知、思考力、判断力も育成したりします。つまり、試験で評価し数字として点数をつけれる学力だけでなく、見えない学力を育てることも目的としています。

Global Educationを実施する際、以下の4つのDimentionを重視しなければいけません。
1)Time:現在の出来事は、今突然起こったことではなく、過去からの積み重ねである。現在を捉えるとき、過去との関係性の中で現在について考える必要がある。また現在は未来へつながっていくため、現在の出来事を長い目で捉えていく必要がある。
2)Place:場所というものは自分たちがいる場所だけを示しているのではなく、グローバルに捉えていく必要がある。環境問題にしても、もはや一国の問題ではなく、国境を超える問題である。物事を考える際にグローバルに物事を考える習慣をつける必要がある。
3)Self:自尊心など。自分の存在を認め、他者との違いを認め受け入れていく必要がある。
4)Issues:事象を単眼で捉えるのではなく、多角的に捉えていく必要がある。科学的な視点、認知的な視点など様々な視点から物事(事象)を判断していく必要がある。

【日本とUNRWAの取り組みの違い】
・ 日本は総合学習といったGlobal Educationのための特別な時間を確保しているが、シリアにはそういう特別な時間はない。→十分な時間をUNRWAでは確保できない。
・ UNRWAでは、Global Educationは主要科目に適応するものであると考えており、そのための特別か学習活動などはない。科目ベースである。
・ 学習環境が違いすぎる。※詳細は、以下のLCAを実施する際の問題点を参照
・ 学習のリソースが日本は豊富だが、UNRWAはだいぶ不足している。
・ 日本の学校は1シフトだが、シリアは2シフトであるため、授業後に自由な時間を作りにくい。
・ 教師の生活状況(ほとんどの教師が、教師以外に他の仕事している)
・ もともと5年生6年生だけの取り組みであった。今は全学年でGlobal Educationが推進されているが、先生はそのためのトレーニングを受けていないため、コンセプトも理解していない人が多い。

【UNRWAでLCAを実施する際に伴う問題点】
・ 教師のオーバーロード(過剰な仕事量)
・ 生徒の数(少なくても1クラス50人以上いる)
・ 家具(丸テーブルや移動式椅子がない)
・ 場所(日本のような多目的室や自由に使える場所がない)
・ リソース(資料や書籍がだいぶ不足している。またインターネットなどのアクセスも不安定)
・ カリキュラム(一回の授業でカバーしなければいけない内容が多すぎて、時間をかけてじっくり学習させることができない)
・ 教師自身がGlobal Educationを経験していないため、イメージをもてず実践できない
・ Global Educationのためのトレーニングやワークショップがない(カナダからのドネーションが終わってから実施されていない。そのため、1年生から3年生の先生はほとんどGlobal Educationのコンセプトを知らない。

総合的な学習 ~環境問題~

5時間目、6時間目は総合的な学習の取り組みについて見学しました。
三宅先生の総合学習のデザインはすごい!!!!ということは聞いてましたが、実際に自分の目で授業を見て、児童の活動を参加してみて、その意味を実感しました。

【着目した点】
1)学習のねらい(GOAL)
学習のねらいがはっきりしているため、児童は何をすべきかを明確に把握していた。また、課題は自分たちで決めたという。課題を決めるまでにも様々な取り組みがあったと思うが、児童が自分たちの活動の意味をしっかり理解しているため、誇りをもって活動に取り組んでいた。

2)学習活動
学習活動が様々。グループ間でも学習活動が違うが、グループの中でも小グループに分かれて、それぞれが明確な目的をもって活動をしていた。他のグループの様子を伺いながら、その刺激を受け、それぞれが活発な活動を行っていた。例えば、「それ何?すごいなぁ。」「どこまでやったん?やべ、早くやらな」「どこまで進んだ?」など、他のグループの存在は、自分たちの活動を振り返るいい材料になっているようだ。

3)参加とオーナーシップ
休み時間、活動のスケジュール、役割分担、課題などすべてグループの自己責任によって行う。各グループにはリーダがいて、リーダーが他のメンバーの活動をしっかり把握し、調整しており、他のメンバーもリーダの存在を認めながら、先生に頼るというよりむしろリーダを通して問題解決を図ろうとしていた。例えば、「仕事ないの?もうやること終わったんやけど」、「いつからいつまで休憩にする?」「この資料はどこにおいておけばいい?」などリーダーが中心となって、児童同士が物事を決定し、実施していた。自分たちで決定しているからこそ、オーナーシップが生まれ、自分たちで何とかしていかないといけないという責任感が生まれているようだ。

4)リソース
 児童の学習活動に必要なリソースはその場その場で対応していた。例えば、インタビューをしたいグループがあれば、そのアポをとったり、ポスターとパンフレットの違いを考えるために、昨年度の児童(彼らの先輩)の作品をサンプルに持ってきて提示し、子どもたち同士ではなかなか得られない情報を提供して、考えるきっかけを与えるなどしていた。

5)対話(Discouse)
 何をするにもコミュニケーションが基盤になっていた。物事の決定、問題把握、問題解決、思考などすべて他者とのインタラクションの間で行われていた。

6)知識
 活動をするにあたって様々な知識も必要になるが、事前にしっかり環境問題について勉強しているため、活動していることとねらいがぶれない。たとえば、エコバックのデザインを考えていた児童が「今、地球温暖化が進んでいるから、この絵は地球が苦しんでいる絵を表わしているんだと思う」、「ビニール袋を燃やすとCO2もたくさんでるのでこの絵はそれを表わしているの」といったように、なぜ自分がこの活動に取り組んでいるのか、という問題意識をしっかり自分の言葉で説明できていた。つまり、羅列された環境についての単語を覚えているのではなく、それぞれの言葉の意味を正確に理解し、自分のの経験や今おかれている状況の中でその知識を適応しているということができるのではないだろうか。

7)プロダクト
 明確なプロダクトのイメージをみんなが共有しているため、今自分が何をすべきで、何をめざしているかを児童一人ひとりが認識していた。そのため、活動にだらけた感がまったくみられなかった。また”ものづくり”というものは楽しいものであり、みんなが没頭しながら活動していた。

【ハムゼから三宅先生への質問】
1)今回、3ヶ月の活動を行っているが、他の学期ではどういうテーマについて学習しているのか。
2)総合学習の時間は年間に何時間あるのか。
3)児童がグループで、活動のスケジュールを決めているが、もしスケジュールどおりにいかない場合、どのようにして、計画通りに学習活動を進めさせるのか。教師の役割は?
4)児童はどのように自分たちの役割を決定しているのか。教師はその際どういう支援をしているのか。
5)学習のテーマを決定するプロセスは?どのように学習課題を自分たちで発見させるのか。
6)環境について学習するだけではなく、自分たちが実際に具体的な行動を起こし、社会に働きかけるというコンセプトはすごいことだと思うが、それをどう実現させるのか。そのためのコミュニティとの協力はどのように得ているのか。例えば、古着を集めてエコバックを作ることになっているが、どのように古着を集めたりするのか。
7)児童のこういう活動へのコミュニティへのインパクト
8)学習を設計する際に気をつけなければいけない点
9)総合学習(LCA)での教師の役割。ファシリテータやオーガナイザーであることは分かるが、具体的にどういった点に気をつけながら児童の学習支援をしているのか。特にどういう場面で支援が必要になるのか。Coarching, Scaffolding, Modelingの3つの視点から。
10)児童の自律性、自発性をどう維持しているのか。
11)総合学習の問題点、難しい点、気をつけるべき点

社会 「今後の日本の水産業について考える」

ハムゼが日本の研修を通して、UNRWAの教育に導入したいと考えているのがシンキング・ツールです。今UNRWAでは、高次思考力育成に焦点をあてた様々な活動が行われていますが、なかなかうまくいっていないのが現状です。その要因は、実に様々なのですが、その一つに「具体的にどういう活動をすべきかが分からないから」といういことがあげられます。

そこで、シンキング・ツールを紹介したいということにいたりました。

シンキング・ツール自体は、単なるツールなので、これを使えば、思考力が育成されるわけでは、決してありません。授業をする中で、その一場面に利用できるだけで、それ自体には意味があるわけではありません。そのため、UNRWAでシンキング・ツールを紹介するためには、レッスンプランと一緒に提示する必要があるわけです。

ところが、ハムゼ自身も、どう利用するかという明確なイメージを持てていませんでした。今回は、三宅学級の社会の授業でシンキング・ツールを使った取り組みを観ることができ、だいぶクリアなイメージとどう授業を設計していけばいいのかについてアイデアを持てたようです。

【授業の流れ】
1.目当ての確認
  到達度の確認
2.問題点をワークシートに整理する(個人学習)
3.問題点について全体で共有する(全体学習)
4.解決策について整理する
5.自分の考えをワークシートにまとめる
6.次の時間の学習を確認する

【子どもたちへの支援】(授業の流れに沿って・・・対応はここではさせていません)
・ ワークシートの提示
・ 何ができたらこの時間は考えたことになるのかんついて共通理解を図る
・ 教科書、ノート、発券カード、資料集を参考にしながら、整理するように助言する。
・ 机間巡視をして、整理できない子どもに対しては助言する。
・ 動画クリップやホームページなどを見せながら理解を促す
・ 意見を発表させ、猟師の様々な努力や工夫を理解する。
・ まとめる際、根拠を上げて自分の考えを述べるように助言する
・ まとめたら、今日の学習の振り返りをするように伝える
・ 食糧生産全体について考えることを伝える

【着目した点】
・ 問題点をワークシートに整理する際に、何人かの児童にどういう問題点があるか発表をさせて、ワークシート(Thinking tool)に具体的に何を書くべきか、どういう作業をすべきかを示していた。初めて使うシートだと、どう利用すればいいか分からないということもあるので、このように”具体的な例”を出しながら、クラス全体で共通理解をもたせることは重要だと思いました。

・ 個人活動とグループ活動の組み合わせ方が非常に絶妙でした。全員がしっかり自分の意見や考えを出してから共有することで、すべての生徒が学習に参加することを可能にしていました。個人作業に十分な時間をとることで、しっかり自分の考えを吟味することが可能であるし、支援が必要な児童に関しては、個別に教師が対応し、必ず全員が課題に取り組めるような授業デザインがされていました。

・ 個人作業をしている際の教師の支援
1)個別の指導:児童一人ひとりの学習活動を机間巡視しながら確認していた。
2)個別学習が進まない子への支援
     どの資料をみればいいのかヒントを与える
     資料の見方のアドバイスをする(図表の見方など)
     資料に出てくる日本語(難しい言葉など)を分かりやすく説明し、理解を促す
3)まとめかた
     資料をコピーするのではなく、自分の言葉でまとめるように指導
4)ワークシートの使い方の説明
     何を書けばいいか分からない児童がいれば、その指導を行っていた
     ※シンキング・ツールは、初めて利用する児童にとっては、理解しづらいところがある
5)動機付け
     褒めたり、がんばれ、と声をかけながら児童一人ひとりが意欲的に取り組めるように促していた。

・ 個人活動で出てきた意見を全員で共有する際、単に発言させるだけではなく、後でひとつずつ吟味するために、パソコンに直接出てきた意見を書き、それをプロジェクターに投影していました。それにより、児童は”視覚的”に他者の意見を確認できたと思います。シンキング・ツールは、学習者個々の思考を扱うため出てくる考えや情報は多種多様です。その考えや情報を、”出すだけ出してだしっぱなし”にするのではなく、しっかり理解につなげたり、間違いや誤概念を修正していく作業が必要になります。そこが課題の一つです。

実際、以前見学させてもらったある学校のシンキングツールを使った実践授業で、児童からでてきた意見全部を扱うことができず、とても中途半端に授業が終了していたことがあった(誤概念を修正するることができていなかった)。多様な考えや情報をどう”料理する”か、どう授業に活用するのか、その部分は教師のデザインが求められるところで、一番難しいところだと思いました。

・ 発問とシンキング・ツール
三宅先生は、個々から出た意見に対して、少しでも不明確なもの、曖昧なものがあると、Why, How, What, When, Whereなど様々な疑問詞を使って発問を繰り返していました。たとえば、「その意見はどこに(情報が)載っていたのか」「本当にそれ(魚が取れる時期が違う)は問題点なの?なぜそう思うの?」などです。解釈が入った意見の場合、その根拠になるデータや資料を提示することを求め、誤概念があると”そうしてそう思ったのか”というところを追求し、全員でその課題に取り組んでいました。

・ 子ども同士のインタラクション
知識構築のプロセスを見ることができました。上記の”発問とシンキング・ツール”に記したことに関連しているのですが、何か不明な点、曖昧なところがあると「なぜそう思うのか。」「本当にそうなのか。」という問いを追求し、その答えを、発言した児童だけでなく、全体に向けて問いかけていました。それにより、みんながその問いに答えるために協力し、様々な視点から意見をだしていました。たとえば、

児童A:「輸入が増えていること(が問題です)」
教師:「なんで、輸入が増えることが問題になるの?」
児童A:「借金が増える・・・」
児童B:「A君の意見の追加になるけど、借金が増えるし、・・・・・・(自分の意見をいう)」
児童C:「それに、安全確保も問題になると思う」
児童D:「安全って言えば、こういうこともあるし・・・(説明を続ける)
教師:「はぁ、なるほどね。そうしたら、これも問題っていうことでいいのかな?(他の児童に合意するかどうかを問いかける)」
児童:うなづいたり、反応がある。
教師:「そうしたら、問題っていえるね」
 ※・・・・の部分は、同時通訳をしていたため、聞き逃してしまった部分

このプロセスをみると、いかに共同で知識を構築しているかを確認することができました。

・ 解決策について考える際、児童の手元にある情報だけでなく、WEB上の情報などを提示しながら、ミクロな視点とマクロな視点の両方から問題と解決策を考えさせていました。その中で「・・・ってことは、AとBは関連してるんやね」といったように、バラバラの情報をつなげて、マクロな視点で問題や解決策を考えさせるような場面も見られました。ハムゼが以前”どのようにHow to learn"を学ばせるのか、という点について興味を示していましたが、こういう教師の足場づくりを活かして児童がHow to learnを学んでいるのではないかと思いました。

【ハムゼから三宅先生への質問】
1) 個人作業で三宅先生が机間巡視をしながらメモをとっていたけれど、それは何か。
2) Thinking toolを使う前に、その使い方を説明しているのか。もししているなら、どのように説明しているのか。大人でも理解しにくいところがあるのを、児童に分かってもらうのは困難であるのに、どうして児童は難なくThinking toolを使うことができているのか。
3)短い時間で調べたことや意見を書かせるのは非常に難しい。どのようにしたら、45分という短時間で自分の意見を書かせたりできるのか。授業設計や指導の視点から意見を聞きたい。
4)すべての生徒がちゃんと作業をしているのかをどのように確認するのか。やらない子はやらないと思うのだけれど、それをどのように確認しているのか。
5)Thinking toolを使った後、そのシートはどのように保管されるのか。子どもが保管するのか、それとも教師が保管しておくのか。
6)自由に意見をさせると、事前に予想できないような考えや情報がでてくることがあると思うが、でてくる意見や情報をどのようにコントロールするのか。あまり関係のない情報や意見をどのように扱うのか。
7)誤概念や間違った解釈をどのように修正するのか。
8)多すぎる情報(いろんな情報がでてくるので)から、学習のポイントやしっかり身に着けておくべき知識をどうおさえるのか、まとめるのか。
9)シンキング・ツールを使ってみて、どういう点が難しいのか。どういうところに注意しなければいけないのか、三宅先生の経験から意見を聞きたい。

実際に、Thinking toolを利用している授業をみて、かなりイメージがわいたようです。

地域との連携 英語の学習活動

2時間目と3時間目は、地域と連携した英語の学習活動でした。
英語が担当な児童の保護者2名が、企画し、実施したものです。
この授業では、担任の教師はアシスタント、保護者がメインティーチャーになります。
このコラボレーションが、とても印象的でした。

UNRWAでは(シリア一般に言えるかもしれませんが)、自分たちの立場やそのイメージから抜け出すことが難しいので、保護者が中心になって授業をするということは、非常に難しいです。たとえば、ハムゼの言葉を使って説明するなら、「スーパーバイザーが自転車やバイクに乗っていたら、地域の人が、”まさかスーパーバイザーが自転車?!”と驚き同様するだろう。スーパーバイザーの立場の人は車じゃないと、周りからの目が厳しい」、「学習支援センターのアシスタントには、何の権利もない」というように、親は親、教師は教師、校長は校長といったように、異なる立場の人がそれ以上のことをするという文化がない。

ただ、UNRWAの先生に要求する仕事の多さは非常に多いので、信頼できる地域の人とTeam teachingを組んだり一緒に授業や教材を作っていくことは、今抱えている問題解決の糸口になるかもしれない。

他者とのコラボレーションでの学習経験が乏しいUNRWAでどこまで、授業内、学校内でこういう日本での経験が生かされるか分からないけれど、不可能ではないので是非トライしてもらいたい。

【英語の学習活動の流れ】
・ 英語の数字を学習したので、1から7までの英語の数字をつかったゲームをする。
・ アラビア語の数字を覚える
・ アラビア語の数字を使って同じゲームをする

【授業のポイント】
1) Authentic(真正な文脈)な学習で、数字を単に覚えるのではなく、数字を使って遊ぶ、つまり、遊ぶツールとして多言語を使うことで、子どもの意欲を高めていた。
2) 何度も繰り返すことで、児童は自分がそこで何をすべきか確認し、ゲームに参加することができる。始めの1,2回は、何をすべきか周りの様子を伺いながらの参加だったけれど、徐々に参加の度合いが変化していた。→ モデルの提示とある程度まとまった時間の確保が必要
3) 外部リソース(ハムゼなど)をうまく活用し、子どもたちの学習動機につなげていた。
4) 折り紙の活動で制作したプロダクトが、ハムゼへのプレゼントであることを示し、単に折り紙をやって終わるのではなく、自分たちの活動に、何か意味をもたせていた。

とても、工夫がたくさん盛り込まれた授業でした。野上さん、ウスラさん、ありがとうございました!

授業見学(津島小学校) 1日目

今日1日で学んだことは非常に多かったです。
津島小学校では、いろんな授業を見学するというよりむしろ、三宅学級をじっくり見せてもらうことになっています。三宅先生の授業の進め方は、うわさには聞いていましたが、”すごい!!!”の一言に尽きません。子どもたちの集中力、学習意欲、参加態度、発言をみれば、どれほど質の高い授業をされているかが一目瞭然でした。ハムゼは日本語が分からないので、逐一通訳しました。それほど、三宅先生と児童、そして児童同士のインタラクションに意味がありました。

それぞれの授業については、後で詳細を報告します。
まずは今日の一日のスケジュールについて。

2校時 (9;40~10;25)
   ・1,4組英語活動10:25~10:55休憩
3校時 (10:55~11:40)
   ・2,3組英語活動
4校時 (11:45~12:30)
   ・4組社会科参観
給食・今日は、3組の植山学級で食べます。
5,6校時(14:00~15:35)
授業終了後、子どもたちが帰りの会
子どもが下校した後、地域探検及び保護者の家へ訪問

授業案を事前に印刷してくださっていたので、授業がどのようにデザインさているのかが授業見学の前にしっかり把握でき、それに基づいてその後少しですがディスカッションができたよかったです。

今日は、昨日がんばりすぎたので(夜11時半までシンキングツールの冊子を作っていましたので)、今日は、ホテルに到着後(7時半過ぎ)休憩にしました。今日は、ハムゼにとってかなり核心にあたる部分を授業でみせてもらったので、しっかり理解を深めるディスカッションを明日したいと思います。

2007-10-15

岡山 津島小学校へ!!

今日から1週間は、岡山県の津島小学校を訪問します。
津島小学校は、県優秀校(2003年)で、実際それを感じさせられるくらい活発に活動している学校です。
津島小学校のWEB http://www.city-okayama.ed.jp/~tsushimas/

今回は、三宅先生の協力を得て、津島小学校への訪問を実現することができました。三宅先生は、総合学習の実践でもとても有名な先生です。何度かNHKの番組でも三宅先生の実践がとりあげられていて、UNRWAの教員研修でも何度も(少なくとも10回以上の教員研修で)利用していました。

ハムゼもテレビでしかみたことがない三宅先生に実際会えたこと、そして彼女がテレビ番組で実践していた総合学習のコンセプトを他の教員に対して紹介していた者として実際に会えるのはとても刺激になったようです。

今日は、午前が大阪から岡山へ移動。
午後から小学校を訪問しました。
子どもたちと一緒に給食を食べて、午後は、5年生に対してシリアやパレスチナの話をしました。
子どもたちはとっても熱心で、質疑応答の時間になるとたくさんの生徒が質問してくれ、その態度に関心させられました。事前にシリアやパレスチナについての資料が配布され、それを読んで質問があるところは、しっかり考えてくるように指導されており、単に外部からの人の話を聞くだけではなく、外部人材も学習のリソースと考え、事前事後の授業設計もきちんとされていました。

その後、ハムゼのために休憩室を準備していただいたのでそこで少しだけハムゼ、岸、古川の3人でディスカッションしました。テーマは以下のとおりです。
1)発達段階に応じてどのように提示する情報量を調整するのか
   →ハムゼが、とりあえず質より量でプレゼンをしたのに対し、私は一枚の写真にも情報がたくさんあり、流してみるよりしっかり一枚ずつに現れるメッセージを理解しながら進んだほうがいいということを言いました。それがディスカッションするきっかけになったというわけです。

日本の子だけでなく、UNRWAの生徒も、メディアに接することが多く、大量な情報が身の回りにあるのは一緒です。とりあえずいろんな情報さえ与えれば、あとはみんな覚えるという発想ではなく、必要な情報をどのように分析し理解していくか、そういうところを抑えながら授業設計したほうがいいのではないか、という問題意識です。そのディスカッションの中で、発達段階に応じた授業設計について話をすることができたのですが、もう少しつめる必要があると思いました。IDの理論を勉強するときに更に理解を深めたいと思います。

2)メタ認知について
津島小学校の1年生担任の先生が、ハムゼが高次思考力について興味を示しているので、その取り組みをみせてくれることになりました。事前に、UNRWAでは1年生でどう国語教育が取り組まれて、高次思考力を育成する取り組みをしたいのかハムゼと話をしてくださいました。

ところが、ハムゼは、”理想の授業”を想定した話ばかりで、たとえば、「UNRWAでは、行間を読ませたり、子どもたちにいろんな発想や思考を促したり、様々な活動をしている。まったくあなたが考えている授業と同じことをしていますよ」という。プライドや、UNRWAの学校の問題点を分析しようとしていないのか、他者の実践を参照して問題の糸口をみつけるということをこれまでしてこなかったからか、何が背景にあるのか分からないけど、他者から学ぼうという態度がまったくみれませんでした。

そこで、メタ認知についてディスカッションすることになった。自分の学習の状態を把握し、自分の課題を解決するためにどうしていけばいいのかを考えることを今までしてこなかったから、他者から学んでそれを糸口に問題解決する態度がみにつかないのでしょか。これについてはこれまでも散々いってきたことだけれど、三つ子の魂100までだろうか、なかなかそこが解決できずにいます。

3)コミュニティと学校の連携
明日の英語の授業は、コミュニティの方が2人(児童の保護者)が企画し実施してくれます。授業のあと、その打ち合わせに参加しました。このように、コミュニティの人の力を駆りながら授業作りをしていくことにハムゼはかなり感心し、なぜUNRWAの学校ではこういうことができないのか、について話していました。いろいろ問題はあるにしろ、こういう取り組みは非常に大切なことなので、今後UNRWAの教育の中に導入できる可能性があるのであれば、教育部長とその可能性を探っていきたいと話していました。

1日目は、授業観察がなかったので、だいぶリラックスした日を送ることできました。津島小学校の先生のコラボレーションや、学校全体(子どもも教師)がとても活動的でフレンドリーな雰囲気にハムゼもすっかり楽しめたようです。明日からがとても楽しみです!

2007-10-12

研修報告会と修了式


今日は大阪府にぎわい創造部国際室アジア交流課が主催する
海外技術研修員の研修報告会及び修了式へ出席して来ました.

ハムゼが来日してから,ちょうと今日が2ヶ月といったところで
11月に帰ることを考えれば早い終了式なのですが
ハムゼは修了書を貰えるのを楽しみにしていたようです.

今回の研修報告会と修了式で
ハムゼは今回の研修で得た成果を報告してもらいました.
報告内容は主に

・Thnking toolやCMS(Xoops)の内容について

・学校訪問での大阪の現場の学校の先生との交流

・大阪プロモーションなどから得た日本の印象について

でした.


中でもハムゼが思いを込めて報告していたと思うのは
これからのシリアの先生と日本の学校の先生が
交流を通じて繋がりあう可能性についてでした.

私もたくさんの学校訪問をしたハムゼにとって一番得たものとは
学校の現場の先生達との交流だったのではないかと思うのです.

もちろん,私達の受け入れ先で行った
研修なども大切な事なのですが
やはり人との出会いが一番のハムゼにとっては
学びの場だったのではないかと感じています.

だから,ハムゼの報告を聞いていて
私もすごく共感できる部分がたくさんありました.


修了式が終わると,今までお世話になった大阪府の方々や
各NPO団体,そしてハムゼと同じ研修員と別れを惜しんでいました.
それを見ていると,ハムゼがもうすぐシリアに帰っていくのだと
しみじみと感じました.
そう思うと寂しくなります.

それと昨日で一ヶ月間続いたラマダン(断食)が終わりました
ハムゼは日本でラマダンを行う凄い経験をし
そしてやっと終わった日に,このような修了書を受け取れたので
とっても印象的でうれしい一日になったのではないでしょうか?
さっそく今日の昼は
ハムゼの大好きなケンタッキーでツイスターを食べにいきました.

とにかくハムゼ,おめでとう!

2007-10-10

マルチメディア研修



10月10日(水) マルチメディア研修1日目


本日は、院生の鍛冶サンをインストラクターに迎えてFLASHを使ったマルチメディア研修を行ないました。


まず、久保田先生のご好意で、大学の授業である[マルチメディア実習]に参加しました。

この日の授業内容は、各自FLASHで個人作品の制作を行なうものだったので、ハムゼが生徒といっしょに作業することはありませんでした。シリアではmacは使わないんだ、と言っていたハムゼですが、自宅で自主学習した内容をメモしたノートを見ながら、私のつたない指導の元、ボタンの作成とモーショントゥイーンをいっしょに作成しました。レイヤーやシーンの概念も理解していました。

とても勤勉なハムゼなので、自主学習で得た知識を実際に活用して、作品を作成し、達成感でいっぱいなようでした。


院棟に帰った後も、鍛冶サンとアクションスクリプトについてなど、実践を通して学んでいました。

明日も、引き続きスクリプトの学習を行います。


FLASHの知識を、シリアの教育にどう活かすのか、これについても時間を作ってディスカッションしたいと思います。

2007-10-08

CMSをどのようにシリアで使うのか


10月9日火曜日
今日は大阪府アジア交流課の池田さんとOFIXの小倉さんが
ハムゼの研修視察に来ました.
ハムゼにとっては久しぶりの再開だったので,感激していたようです
私達NPOとハムゼと共に,今までの活動報告を行いました.

その後は,今日はXoops研修2日目
昨日ハムゼに立ててもらったXoopsは英語版だったので
アラビア語版のXoopsにチャレンジしてもらいました
ハムゼは家に帰ってからも自主的に取り組んでいるので
教える方にも力が入ります.

ハムゼの立てたアラビア語のXoopsサイト
http://www.ictedu.org/hamzeh/html/index.php


ハムゼが今後,このXoopsサイトをどのように運用していくのか
采女くんと稲垣くんを含めた4名でディスカッションしました.

まずは采女くんと稲垣くんは,
教育の中で使っているCMS(Moodle)の実践を紹介
その時にどのような効果があったのか
またどのような失敗があったのかを織り交ぜながら
話合いました.

その後,ハムゼに彼らの実践をケーススタディして
どのようにXoopsを運用するのかと尋ねたら
Worldlinkというものをすでに使っているらしいです.
これはWorldbankが提供している,
Xoopsをプラットフォームとしたシステムなので
ハムゼもどのようにXoopsを使うのかイメージ
しやすかったと思います.


ハムゼはこうしたCMSに対して
アートマイルプロジェクトで使用した
使いやすいBBSを例にとり
「一番大切なのはユーザービリティだ」
と考えていたようです.

でも,4人とも気づいていたと思うのですが
一番大切なのは,こうしたWebサイトを使う意義を
使う側がどれだけ自分で意味づけできているか.
それを考えた上で運営していかないと
こうしたCMSをシリアで運営するのは難しいだろうと思います.

ハムゼが今後,これらのWebサイトを
どのように運用していくのか,注目したいと思います.

Xoops研修


10月8日 Xoops研修1日目

シリアでTLC(Teachers Learning Community)を立ち上げたのが3月
TLCとはUNRWAの先生達が教科や学校の枠組みを超えて
コミュニティを結成して,彼ら自身で課題を見つけて
問題解決に取り組むというもの.

8月にシリアでWeb研修を行い,TLC毎にWebサイトを立ち上げたのですが
その時に借りたシリアのレンタルサーバを使ってXoops研修を行いました.


XoopsとはCMS(Content Manegement System)の一種で
ユーザー登録制のコミュニティサイトです.
既存に作られたコンテンツを組み合わせる事で,
Webページを簡単に作れます.

研修の詳細は
  1. Xoopsについての説明
  2. シリアのレンタルサーバの説明
  3. ファイルマネージャとデータベース操作の仕方
  4. Xoopsのインストール
  5. モジュールの追加
について行いました.
今回は英語のXoopsをインストールしてもらいましたが
アラビア語のXoopsもあるので,
次の機会にハムゼには挑戦してもらおうと思います.

ハムゼはネットワークの知識や経験がほとんどなかったですが
本当にすごいスピードで理解していきます.
XoopsなどのWebサイトは立ち上げるのは簡単です
しかし,継続してみんなに使ってもらい
運営していくのが一番難しいのです.

ハムゼが今後この立ち上げたXoopsをどのようにカスタマイズして
どのような目的で使っていくのか,
次の研修で話し合っていきたいと思います.

E-Learning 研修


10月8日(月)E-Learning 研修(盛岡)

目的:10月10日~12日に行われるFLASHを使って教材(?)
をつくるために必要な想像力・動機の促進

方法:メディアリテラシー教育用・リソースガイドの紹介

リソースガイド(マルチメディア教材)に基づいたディスカッション

研修時間:約1時間

研修内容:教材の紹介(教材の内容は上記URLを参照願う)
・マルチメディア教材に必要なコンポーネントの説明、
・教授学習における「制御と発見」と「知識・技能と見方・考え方」の2軸からなる
マトリクス(水越(1974)「発見学習の展開」)を視覚したことにより
学習活動教授学習方法のプロセスをイメージ化した点の説明

・この研修教材をインターネットで使うための動作環境の説明
・教材開発における使用ソフト
・国語の授業をいかにメディアを使って取り組むかについての説明

議論内容:教材の紹介を20分ほど行い、シリアの教材事情を把握、
LRCには様々な教材はあるが、
自分で高度なソフトを使った教材作成はできないようである。
シリアは教育におけるICT利用を日本よりも推進しているので、
日本の閉鎖的な環境・事情とギャップがあるように感じられた。
ハムゼと議論をした限りでは、
パワーポイント・ムービーメーカーを使えるための教材はあるようだが
先生が授業での学習プロセスを活かした教材はないようである。

また、授業補助教材やスライドショー作成のために必要なBGMが
ダウンロードできる点といったことに、ハムゼ自身、
教材作成に取り組めるアイディアを得られたようでもあった。

提言:動画・音声・アニメーションといったマルチメディアで生かせる要素をコ
ンパイルする方法、効果的な使い方について
まださらなる研修が必要である。
本人はFLASHで教材作成に取り組みたいという動機がまし、
今回の研修で紹介した教材を真似て、
水曜日から始まるセッションに活かしたいと本人からの提言があった。
また、研修員ハムゼからは、教材制作で得られた知識・技術を生かして、
研修終了後、シリアに戻り教員用の研修マルチメディア教材を積極的に
開発・普及に取り組みたいという建設的な意見を伺うことができた。

Flashを使った今週の制作セッションでは、
教材のビジュアル的なデザイン方法、画面のサイズの構成、
シーン・フレームの使用・切り替え方法、
動画・音声の再生といった基礎的な技能・知識に焦点を置き、
1つの教材を基にして、それを真似て作るというアプローチがよいと提言する。

2007-10-05

洗足学園訪問


今日は、急遽、カレンの講演に参加することになったので午後に訪問する予定だった洗足学園の授業見学にだいぶ遅れてしまいました。そのため、授業を見学できたのはたった10分ほどでしたが、女子高の雰囲気をみることができて、よかったのではないでしょうか。女子高だからかどうか分かりませんが、学校の雰囲気はとてもオープンで、みんなとてもフレンドリーです。道すがりに必ずといっていいほど”Hello"と声をかけてくれるし、中学校以上の学校とは違う雰囲気を味わえたと思います。

洗足学園は、音楽教育に力をいれており、音楽の発表会の様子や文化活動を支える様々な施設をみせてもらい非常に驚いていました。

その後、高校2年生を対象にシリアやパレスチナについて講演をしました。最後に何人かの生徒が「私もパレスチナ難民のために何かしたいのですが、何をすることができますか?」と聞いてくるなど、ハムゼがその態度にだいぶ感化されていました。


今日は、関東最後の学校見学です。慶應とはまた違った雰囲気を味わえたのもよかったと思います。

日本舞踊のお稽古場訪問


せっかく日本に来ているのだから、日本の伝統も知ってもらいましょう、ということで、カレンの講演後、日本舞踊を見学しにいきました。田邊先生の教え子が日本舞踊を教えているので、そのお稽古場を訪問させていただきました。

”さくら”と”松も実(?)”の2つの音楽に合わせて女形と男方の舞踊をみせていただきました。風と音楽を調和したようなしなやかで、美しい舞もハムゼも大興奮でした。

アラブにも伝統的な踊りがあるので是非将来シリアやパレスチナの子どもたちと踊りを通した交流をしたいと話していました。ハムゼがいうには、日本もシリアも西洋の影響を受け、ヒップポップやディスコでの踊りが流行しており、大切にすべき伝統が失われているのではないかと危惧していました。こういう伝統を守るためにも、他者に伝えるということを通して自分の文化を振り返るチャンスを交流学習で作っていきたいと話してくれました。

UNRWAのGeneral Commisonerの講演


今日は、東京大学でUNRWAのGENERAL COMMISSIONORであるカレンアブザイドさんが人間の安全保障とパレスチナ問題について講演されました。

この件について知ったのは、昨日。今日の予定を急遽変更し、東京大学へ。

事前登録制だったので、今日カレンの講演を聴講できるかどうかは分からなかったけれど、国連広報部担当の方がハムゼがUNRWA職員であることを考慮して特別に聴講を許してくださいました。

さらに、講演後、カレンと話す時間もとってくださり、非常にハムゼも喜んでいました。もちろん、私にとってもカレンと話ができたということはとても光栄でした。

実は、3日前にUNRWAシリアオフィスから、UNRWAのGCが来日するので、チャンスがあれば日本とシリアの交流学習について直接彼女と話をしてくれないか、という連絡を受けていました。チャンスがあれば是非私たちがシリアで行っている活動について知ってもらいと思っていたので、この件については肯定的に捉えていました。ところがカレンの日本での日程はとてもタイトでとても時間をとってもらえそうになかったので、今回講演の場で彼女の話ができたことは非常によかったです。

以前、URNWAの日本の学校の交流学習を関西大学がコーディネートして実現したことがあります。JAMというアートマイル協会と協力して実現し成功した実践なのですが、なぜかJICAのプロジェクトだと紹介されていて、それを聞いてだいぶショックを受けました。そんな複雑な思いもありましたが、カレンと話をできたことは非常に意味のあることでした。

講演でも、今後パレスチナ人と日本人の対話が語られていましたし、政治レベルだけでなく、草の根レベル、つまり生徒や先生同士でも相互理解を促進するような活動ができればいいなと思います。今後、シリアだけでなくガザやウェストバンクといった地域も巻き込んで交流学習ができればいいなと思います。

2007-10-03

内田洋行 企業訪問


今日は内田洋行へ企業見学に行きました。

以前、英国からの研究者がこられた時に、内田洋行の企業見学に同行させてもらったことがあります。その時、内田洋行の教育に対するコンセプトやICT教育促進のための様々な取り組みに非常に感化されたので、今回も今回も田邊先生と大久保副社長の計らいで企業見学をさせてもらいました。

内田洋行は、JICAの研修で来日している教育関係者の一つのコースにもなっており、社内にはJICA担当の方もいらっしゃって大変よくしていただきました。また大久保副社長には、本当に最高のおもてなしをしていただき、ハムゼも非常に喜んでいました。

まず、大久保副社長自ら内田洋行の歴史について説明していただきました。

どのように創立され、日本の教育改革と共にどのように発展したきたのか、また現在、Education EXPOや地域への社会貢献なども知ることができました。ハムゼが関心を持ったのは、政府や学校だけでなく企業もまた教育を促進するために大きな波をつくっているということでした。

内田洋行は現在インフォメーションシステムに力を入れており、様々な製品を開発しています。その中の一部を紹介していただきました。特にハムゼが興味を持ったのは、E黒板とICチップを埋め込んだ様々な製品です。E黒板はUNRWAの学校でも使いたい!!!と値段を聞いていました。

ハムゼはシリアUNRWAの視聴覚機材の購入を決める責任者でもあるので、今後UNRWAに機材を入れる際には、内田洋行で得た情報は役にたつでしょう。

その後、大久保副社長がハムゼの大好物であるてんぷら料理をご馳走してくれました。創立100年といわれるとても伝統のある料亭で、すばらしい料理でした。(私もみたことがない・・・。)内田洋行からは大久保副社長とJICAの研修担当の山田さんがいらっしゃって、お二人ともハムゼの話に非常に興味を示してくれたので、ハムゼも一生懸命になって話していました。

その後メールで、”シリア・パレスチナの教育環境向上に当社が、何らかの係わりを持てれば楽しいですね”、と嬉しい言葉をいただきました。

新しい発想、新しい考え、新しい人間関係がハムゼにとって今後どういきてくるか、とても楽しみです。

2007-10-02

UNRWAプロジェクトの今後の課題

今回のディスカッションで、今後UNRWAプロジェクトをどのように展開すべきか明確にみえました。

”評価の力を身につける” そして ”解釈、考察の力を身につける”ということです。

UNRWAプロジェクトでは、学習者中心型教育を促進する取り組みを行ってきました。そのツールとしてICTを利用した学習方法などを紹介してきたりしましたが、その評価があまりにも表面的だということに気づきました。

これまで、教師からのフィードバックということで、5回に分けてインタビュー調査をまとめ報告していたのですが、それがハムゼ自身に反映されていませんでした。

たとえば、ナスマやハイサムが学習者中心型の授業を実践したところ、「これまで生徒たちは完全に個人学習をおこなってきたため、8年生で突然協調学習を取り入れたところで混乱するばかりだった。グループでの役割を決めるにも問題が行ったし、民主主義的な決定ということをしたことがないので、けんかが起こったり。さらに、できる子だけが学習活動を独占し、それ以外の子どもたちは、参加できずにいたりする場面もありました。もちろん、声をだしたり、実際に触ったり見たりできるのは楽しくやっていましたが、それは当然で、学習目標を達成できたかというと疑問です。私自身協調学習や学習者中心型教育の重要性は認識し、是非実施していきたいと思いますが、そのためには、まずもっと低学年から他者と協調してやることを学ぶ必要があると思います」

この話をハムゼにしたところ、「ナスマやハイサムはうそをついている。それは事実ではない。学習者中心型教育は時間も労力も必要となるので、そういうことをいって、言い訳しているだけだ。教師野問題だ」といいます。

ハイサムとナスマはUNRWAの学校でももっとも熱心な先生で、ボランティアとしてプロジェクトでも重要な役割を果たしてくれている人たちです。なぜハムゼがこういう発言や考え方をしているかというと、これまでUNRWAが表面的な評価の方法に問題があると思いました。

実際、夏のプラグラムで理科のクラブを実施したのですが、その評価さえもハムゼと私の間でずいぶん評価に乖離がありました。日本人が観察し評価したところ、目的にもまったく到達せず、適応した方法はいい加減で、コンセプトも分からないままに、単に生徒にやらせているだけでした。ところが、ハムゼは、「生徒は喜んでいた、あのクラブはよかった」と主張します。生徒が喜べばいいのか、生徒が楽しいといえば成功なのか。

まだまだ議論し、しっかりつめていかなければいけないところがあると思いました。そして同時に今後UNRWAプロジェクトをどのように展開すべきかハムゼとのディスカッションの中で明確にみえてきたことはよかったと思います。


生徒が楽しそうにしている、生徒が喜んでいる、それがすべて評価ではないし、一部の生徒にインタビューして「すごくよかったです」という言葉を完全に信じて、全体をみていない。妥当性も有効性もないデータのとりかたである。まずはそこからしっかり改善していかんければいけないと思った。

ディスカッション 

今日は、高校の先生および慶應大学院の院生をしているFUKUMIさんと、岸、田邊そしてハムゼの4人で3時間ほどにわたるディスカッションをしました。

テーマは以下のとおりです。
1)授業設計 
(ハムゼ主張)講義型の授業はしてはいけない。必ずどこかにアクティビティをいれなければいけない。
(岸・田邊主張)講義方の授業もまた授業である。学習者の状況に応じた方法を採用すべきであり、「・・・でなければいけない」ということを他者から強制されるのではなく、教師と生徒のコミュニケーションや相互関係の中で教師が最適なものを選択し、適応する。
(FUKUMIさん)一生懸命教師が働きかけないと勉強しない生徒がいるから、講義方の授業は難しいと思う(※彼女は高校で古文や漢文を教えている)

2)授業の単位
(ハムゼ)授業というものは、一つの授業で一つが完結するので、一つの授業をみればその授業のよしあしが分かる。
(岸・田邊主張)授業というものは、ユニットで捉えることができる。ユニットの単位は、単元であるかもしれないし、学期で捉えることができるかもしれないし、いろんな単位がある。たった1回の45分の授業に様々な学習目標を組み込みそれをすべて45分の間で達成するのは難しい。しっかり覚えさせなければいけない場面では、ドリル学習や講義さえも必要になることもある。
※講義型がよいということを主張しているのではなく、授業の形態には様々なものがあり、教育目的に応じて決めることが望ましいということ。

3)個人の学習スタイルに合わせた授業展開
(ハムゼ主張)知識伝達の授業の場合、実際にやって学習することを好む生徒(Kinesthetic learning)、聞いて学習することを学ぶ生徒(Auditory learning)、視覚を通して学ぶ生徒(Visual Learning)がいるため、講義だと生徒の多様な学習スタイルに対応できない。
(岸主張)それに関しては同意だけれど、実際UNRWAの先生にインタビューしたところ、UNRWAの生徒は、逆に協調学習より講義型を好む生徒がいると聞いた。日本のように学校自体が学びの共同体として協同して学習することが多い文化ならまだしも、今まで完全に個人主義の方法を採用してきたUNRWAでいきなり協調学習を導入することで生徒が動揺し何をすればいいか分からず混乱している生徒もいるという。個人の学習スタイルについて述べるのであればしっかりした調査が必要。

4)Group workや協調学習の重要性は認識できたがそれをどのようにUNRWAで適応できるのか。
(ハムゼ)機材や学習環境が整っていないので難しい。
(岸)環境の問題ではない。

5)転移
(ハムゼ)UNRWAの生徒は、紙面上でのテストの成績はすばらしいが、生活能力や問題解決能力はきわめて低い。これが今後の課題だ。
(岸)評価の方法が異なる。実際リムなど、新しい方法を採用しているが、生徒の動機付けに成功しても成績が一気に落ちてしまい悩んでいた。新しい方法を採用するには、新しい評価方法も同時に導入していく必要がある。

6)ワークシート
(ハムゼ)ワークシートとは、生徒の高次思考力を促すためのものだ。教師が言ったことをコピーするのは、ワークシートではない。UNRWAでもワークシートに関して誤解がおきていて、それは問題視している。ワークシートを、問題を解くための質問紙として扱っている人がいる。
(田邊先生)ワークシートとは、学習目標に達するため、生徒が参照できる道しるべ(milestone)である。達成にむけて、Small stepで、多様な人の意見も聞き入れながら学習を支援するための道具(Tool)である。
(Fukumiさn)ワークシートとタスクシートは違うのでは?
(岸)ワークシートにもいろんなレベルのものがある。目的応じて違う。考えさせるためのもの、実験したものを記述させるもの、教師が言ったキーワードをメモするもの(特に社会など)様々であり、ワークシートが果たす役割もいろいろである。ワークシートがどういうものかということに焦点を当てるより、ワークシートがいろんなタイプの授業の中でどのように授業を支援できるのかについて話し合ったほうがいい。

7)慶應で見学した家庭科の授業について
(ハムゼ)あれは知識伝達の典型的な学習でよくない。
(岸・田邊先生)あれはあれでいい授業だ。ワークシートを利用させて、生徒に開きさせない授業を展開していて、誰も寝たり退屈そうにしている生徒がいなかった。
(ハムゼ)今日見学した大学の授業ではほとんどの生徒が寝たり、違うことをしていた。知識伝達の典型的な例である。
(岸)今日見学した大学の授業は、内容が非常に難しく、また受講している学生の動機も様々である。単位がとりやすい授業ということで、とりあえず参加しているだけの学生もいるので、あの一面だけをいて、知識伝達の授業が悪いということはできない。
(岸)家庭科の授業に関して言えば、マルチ商法といった生徒にとって身近なテーマで、生徒は話を聞くだけでも非常に関心をもって授業に参加している。教師の話し方にもメリハリがあり、内容も難しくないので、生徒は声に出したり教師の支援がなくても、自分で自己内省することができているのでは。一方今日の大学の授業や古文や漢文といった難しい内容では、教師が一方的に知識を与えるだけでは、本当に分かっていない生徒がどんどん増えてくるので、場面場面で生徒の理解を確認するといったことが必要になる。つまりインタラクションや確認のためのアクティビティが必要になるだろう。このように、授業の内容によっても、適応できる授業スタイルは違うので一概に「これはダメだ」という決め付けはよくない。

以上のテーマについて3時間ディスカッションしました。なかなか終わりが見えないので、更に文献などを参考にしたり、他の人の意見を聞きながら理解を深めていきたいと思います。

今日もとても長い一日でした。みなさん、おつかれさまでした。

学習目標の設定

ハムゼとのディスカッションでよく衝突する部分がいくつかあります。
その一つが、発達段階を考慮した授業設計ができていないということです。

たとえば、目標設定について取り上げます。田邊先生にもアドバイスもらったので、これを踏まえて、ハムゼとのちほどディスカッションしたいと思います。

一般的には、1年生から4年生までは、親や教師から言われたこと、与えられた課題をしっかりやり遂げるということが重要になります。

4年生を超えると自分たちで課題を発見したり、自分たちの学習活動を内省しそこから次の目標を決めるなどしはじめることができます。

さらに学年があがると、課題をみつけそれを自分で解決する方法を少しずつ学ぶようになります。

このように発達段階に応じた授業設計、学習目標を設定することが必要になるので、一概に「すべての授業でこうすべきだ」といったことを推進するのではなく、ある程度学習者の状況を考慮したディスカッションができるとさらに効果的だと思いました。

そもそもこの話がでてきたのは美術の先生からのコメントでした。
「なぜ子どもたちはこんなにも熱心に学習活動に取り組むのか」という質問に対し、以下のように応えていただきました。

「まずは生徒の自発性を大切にする。生徒が何をしたいのかということをしっかり”考えさせる”。自分で決めたことは責任をもってやりとげようとする。そのため、必ず何か制作する前には2時間以上時間をとってスケッチをさせる。スケッチをさせ、自分のやりたいことを表現させ、イメージが明確になれば、しっかり取り組むことができる。イメージが曖昧なままあ進めると、最後まで曖昧なまま終わってしまう。スケッチの段階で、自分ができそうだ、できなさそうだということを自分で判断することができるし、”判断する”、”挑戦する””課題をみつける”といったことを自分たちでさせるようにさせている。言いかえれば、課題を与えるのではなく、できるかできないかも含めてPlaning(計画)をしっかりさせるようにしている。このPlaningの段階では、”なんとなく”を”明確な目標設定”にする。ここで考える力も含めて身に着けることが大切である。」

先に美術の授業と主要科目の連携の重要性について報告したけれど、科目を縦割りにすることで切り落としてしまっている重要な要素もあるので、それを連携させることでより幅の広い授業が展開できるようになればいいと思いました。これはシリアだけではなく、日本にとっても課題であるため、これをきっかけに英国の事例なども参考にいろいろ私自身もハムゼと一緒に学んでいきたいと思います。

美術 没頭(FLOW)と教育


3時間目は、美術の授業を2つ見学しました。
1つは写生、もう一つは陶器づくりでした。
どちらの生徒も真剣に取り組み、他の生徒の様子もみながら自分の作品に取り掛かっていました。
ハムゼも以前滋賀県で陶器作りを体験したので、陶器作りのクラスに大変興味を示していました。

3時間目の後半は、美術の授業での生徒の学習態度についてハムゼとディスカッションしました。
美術の時間では、生徒たちは活動に一生懸命に取り組んでいる。このように人がある活動に”没頭”する状態をチクセントミハイは、FLOWという言葉を使って説明しています。

英国では近年創造教育が推進され、新しいものを作り出す楽しさや喜びからFLOWを促進し、それを学習の中に組み込むといったこともしています。要するに、ARTを他の科目と切り離して考えるのではなく、科目の中にARTの要素をいれ、学習の目的を”創造性”とし、学習活動を展開していくということです。創造性(Creativity)を育成するということは、もちろん批判的思考、つまり高度思考力が必要となります。ARTがもつ様々な側面、FLOW、楽しさ、高度思考力を生かした学習展開についてハムゼとディスカッションしました。

これまで、社会、理科といった主要科目と総合的学習や表現活動、選択科目といったようにいろんなタイプの授業をみてきましたが、「UNRWAでは、こういうのは無理だなぁ」ということをたびたび話していましたがその重要性にについては、しっかり認識しているので、それぞれを別物として捉えるのではなく、創造学習の一貫として主要科目の中にも表現活動やARTの要素をいれた活動を推進できるようなモデルや方法を提案できるようにしていきたいです。

ところで、ハムゼがその件でUNRWAの問題点を指摘していたのですが、スーパーバイザー同士でも横のつながりや協力体制が無いのに、現場の先生に他の科目の先生と協力してやるということを進めるのはすごく難しいということです。たとえば、美術の先生と社会の先生が一緒になって何かをするとき、その活動の責任をどのスーパーバイザーがとるのか。責任はどちらもとらないし、うまくいけばその成果の取り合いになる。一緒に協力するという体制ができていないので、まずはそこからなにか働きかけをしないといけないといっていました。

学校訪問 4日目 (慶應義塾湘南藤沢中・高等部)


今日は、慶應の授業を見学する最後の日です。
午前中は授業見学、午後は大学の授業や現職の先生とのディスカッションをしました。
今日の活動時間は朝の8時半から夜の9時・・・・。だいぶがんばりました。
とくに6時から9時の3時間にわたるディスカッションは非常に意味深いものでした。
詳細については後ほど報告します。まずは授業見学についてと今後の課題について報告します。

今日見学した授業は以下のとおりです。
1時間目 英語
2時間目 英語(帰国子女クラス)
3時間目 美術
4時間目 英語(帰国子女クラス)

2時間目 英語のクラス(2時間目 帰国子女クラス)
この授業では、音楽をテーマに生徒が自分たちが好きな曲を選び、その曲についての背景、音楽の意味、自分の意見について発表する。生徒によって発表の内容にだいぶ差があるが、生徒によっては、クリティカルに曲の内容を解釈し、しっかり自分の意見を創造していた。たとえば、「この曲は、母の愛を表しているようにみえますが、作曲の・・の生まれた環境から実は・・・と意味しているのではないかと思います」「この曲はビートルズの最盛期の曲ですが、この曲がヒットした理由として・・・ということが考えられるのではないかと思います」といったように、単に曲の紹介ではなく、作者や歌手の背景、時代を考慮しながら曲について発表している生徒もいた。

ハムゼはクリティカルシンキングとクリエイティビティを視野にいれた実践だ、といって非常に興味を示していました。また、発表者だけでなく視聴者も発表に関わる工夫がされていた。たとえば、視聴者は発表者に対してコメント(メッセージ)をするようになっており、よかった点、改善したほうがいい点、興味をもった点をまとめていた。

高次思考力に興味を持っているハムゼは授業を観察する際、その授業がBLOOMが提案している教育の目標(Objective of the education)のどこにあたるかを分析できるようになっているのがすごく嬉しい。始めは、何の目的もなく授業を”見学”していたが、今は、動機付けの方法やタキソノミーを考慮した授業分析ができるようになっている。

ところで、今後の課題として、”Creativity"についてしっかり理解を深めたいと思った。自分の意見をいうこともCreativityということができるのか。意味を作り出すこと(Mean making)、知識を構築すること(Knowledge construction)、提案(Suggestion)など以外に何をCreativityということができるのか。イギリスの創造的学習を参考にしながらCreativityについて理解を深めたい。それが高次思考力の理解を促進させるだろう。

4時間目 英語クラス(帰国子女クラス)
この授業はだいぶ高度な授業内容だった。国連の会議という仮想空間を作り出し、各国の代表がどのような視点から”平和”について捉えているのかをグループごとに発表していた。

一番初めのグループは、(偶然にも)イスラエルからの代表の演説でハムゼもイスラエルの主張にだいぶ何か言い足そうな感じでした。しかし、これがこの授業の面白い点だと思った。なぜなら、次はオーストリア代表の演説でそこにはイスラエルとはまったく異なる視点で平和と捉えて今後の平和活動の提案をしている。つまり、それぞれのグループが、どこかの国の代表というアイデンティティを持って、自分たちの意見を述べ、相手の主張に対して、異論、反論し、自分の意見を論理的に主張していく。かなり高レベルではあるが、参加者全員の興味関心を一気にひきつけるものだった。「その考えは違う!!!」という怒りにも近い葛藤をもたせ、それに対して自分の国の立場から反論する。非常に興味深い授業だった。

この授業のポイントは以下のとおり
1)高次思考力に焦点を当てている
論理的思考、批判的思考、判断、選択、比較といった思考のプロセスが多く盛り込まれている。発表だけしかみていないので、どのように生徒の学習を支援しているかは分からなかったけれど、ここまで生徒たちが様々なリソースを利用して自分の意見をまとめるには、多くの工夫やしかけがあったに違いない。

2)Authentic(真正)な文脈での学習環境
国連の会議という場面を設定することで、非常にリアルな状況を作り出していた。実際に国連の旗を黒板に張り、会議の雰囲気を出すために各国の国旗を机に置き、マイクも設置。また、ロールプレイによりグループが各国の代表になることでその国の情報に責任をもつことができる。

3)葛藤を引き起こさせる工夫
他の国の意見、つまり異なる視点からの異見に対して、「それには合意できない」といった感情がでてくる。たとえば、イスラエルの主張は他の国の代表に刺激や葛藤を起こさせるものであった。それに対して、国の代表としてどのように理論的に相手を説得させるのか、そのプロセスの中で、高次思考力と表現力などさまざまな力を育成できると思った。

4)ICTの有効活用
発表の様子をビデオに撮っていた。自分たちの発表を振り返るというだけでなく、各国の代表の演説をニュースのために撮影されているという設定だ。つまり、カメラを単に撮影の道具として使うのではなく、カメラ自身も「国連会議を中継するカメラ」としてとらえ、カメラ目線で演説するような仕組みにしているのだ。演説の内容は紙にかいていて、それを見ることは許されているが、カメラがあることで、下ばかりをみず前を見て発表するように促している。教師が「前を向いて発表するように」と言うのではなく、前を向くような工夫をカメラを使ってしていたのも非常に興味深かった。

2007-10-01

授業見学(慶應義塾湘南藤沢中・高等部)3日目


家庭科(Home economy)の授業見学(11時50分~)

ISUZUの工場見学を終えた後、家庭科(Home economy)の授業見学をしました。
この授業は典型的な、知識伝達型(Knowledge transmitted approach)の授業でした。
ハムゼの頭の中には、知識伝達型の授業はよくないという認識があるようなので、この数日間で、知識伝達型の授業も工夫を凝らすことにより有効であることをディスカッションしてきました。しかし、ディスカッションだけでは、なぜ私たちが知識伝達の授業も重要であるか主張するかをハムゼは理解できていないようでした。そこで、今日はあえて、知識伝達の授業を見学させてもらいました。

本授業では、消費の問題についての授業で悪徳商法について、また、万が一被害にあった場合どのように契約を解消するかなどについてでした。キャッチセールス、マルチ商法、クーリング政策などについて新しい単語およびその説明を教師が一方的に生徒に教えていきます。

ところが、授業でまったく寝ている人がいないのです。みんな一生懸命ワークシートに書き込みながら真剣に授業を受けていました。その理由は、この授業の特徴でもあるワークシートの有効的かつ効果的な活用方法だったのです。

知識伝達であっても、様々な工夫によって非常に効果的な授業を展開することができます。ハムゼには、「知識伝達か学習者中心」という二項対立の考えがあるようですが、今後それぞれの学習方法といい点(Plus)、マイナス(Minus)、どう工夫するかの3点について理解を深めたいと思います。

理科ネットワークを利用した理科の授業(12時15分~)

4時間目の後半は、JSTが提供している”理科ネットワーク”というデジタル教材を利用した地層の授業を見学しました。様々な視聴覚教材を利用している授業でした。生徒たちは実際に噴火している火山をみたことがないので、実際の映像を見せながら説明を加えたり、その後すぐに実物の火山灰を見せたりなど、生徒が学習していることをよりイメージしやすい工夫がいくつもされていました。

ちょうど構成主義IDで有名なRichard Myerの論文をハムゼと輪読しており、その論文の中に、既有知識を活用してある事象を理解するのは、テキスト情報と画像情報が必要であるといったことが書いていたので、ちょうどこの授業でその理論を実践として確認することができたようです。

学習していることをよりイメージしやすい工夫をUNRWAでもしてきているのですが、単に映像や画像を見せればいいというわけではなく、明確なストラテジーの中で利用していく必要があります。来週からマルチメディア教材制作の研修を行うので、その際にその理論についてもしっかりおさえて学習したいと思います。

企業見学:ISUZU自動車とIBM





今日は、午前にISUZU自動車の工場(藤沢工場)、午後は、大和にあるIBMを訪問しました。
学校の授業見学ももちろん非常に価値のある学習の場なのですが、少し違う視点を入れることで、分析や解釈の枠組みも広がります。実際、この2つの企業見学後、ハムゼの学習動機はずいぶんアップしたと思います。

ISUZU自動車の工場見学(2時間)
ISUZU自動車のマネージャに概要説明をしてもらい、その後工場の中を見学させていただきました。車の製造プロセスをみるだけでもかなり興味深いのですが、特にハムゼにとって勉強になったのは、職場の環境デザイン(Design for working environment)とシステムでした。何か問題が発生すれば、すぐに対応できるようなシステム作り、高品質を維持するためのモデルとその普及と強化、機械化による品質維持と人間の作業の分業。

教育もかつては、効率よく与えられた知識を獲得するための教授方法を、車の製造プロセスや分業なども参考にしていたと聞いたことがあります。実際にその現場をみることで、本だけでしか学べなかった理論を自分の体験として理解できたのではないでしょうか。

ハムゼが最後にマネージャーに質問したことは以下の2点
① 三菱などもトラックを作っていると思いますが、顧客にISUZUの車を買ってもらうために、どのような工夫をしているのか、どのような差別化をしているのか。
② 日本以外の国(タイなどアジア諸国)に工場を持っているというが、どのように日本と同じ質を維持しているのか。

車の製造過程をみるのは経験だったこと、また車を生産する様々な工夫、質を維持するための工夫、国を超えたコラボレーションなども知ることができたので、非常に学ぶことが多かったと感動していました!

IBM大和研究所見学(1時間半)
”ハムゼの目がキラキラしていた”と表現するのがいいのでしょうか。IBMでの見学のあと、興奮して、”Great”という言葉を連発していました。自分たちはクライアントとしてPCを利用しているけれど、そのPCのインターフェースがどのように開発されているのか、どのようにシステムがカスタマイズされているのかを考えたこともなかったと話していました。

現在IBMはノートPCをLENOBOへ売却し、実質IBM大和研究所では、ユーザビリティーとアクセシビリティに対応したインターフェースの開発、デジタル機器に搭載する様々なシステム開発などを行っているそうです。また、IBMが開発したセルプロセッサやシステムは他の企業(たとえば、ゲームでいうと任天堂やSONYなど)に利用してもらうなど、企業間での協同によって自分たちの位置づけを確保しているということです。

今日は、その一部を見学させてもらい、IBMの新テクノロジーを体験でき、感動していました。

このような他の企業とのコラボレーションや、アクセシビリティを考慮したインターフェースの開発、社会貢献などIBMの姿勢や取り組みにずいぶん興味をしめしていました。