2007-09-30

歌舞伎 (国立能楽堂)




せっかく日本にいるので日本の伝統的な美もみましょう、と田邊先生が提案してくれ、国立能楽堂へ歌舞伎と能を見に行ってきました!ハムゼは、まず国立能楽堂のあまりの美しさにびっくりしていました。

さらに、能と歌舞伎をみて・・・・・

始めは眠気を必死にこらえているようでしたが、一度休憩に外にでて、田邊先生に、舞台のつくり、登場人物の無表情の意味、動きがあらわす意味、音楽の役割など詳細に説明してくださったので、舞台をみる視点が明確になり、後半はかなり興味を示してみていました。

午後は、慶應に戻る予定だったけれど、ハムゼが最後まで歌舞伎をみたいというので予定を変更し、1時半に終了。慶應で私と田邊先生はテレビ会議で研究会に参加しなければならなかったのだけれど、時間的に無理ということになり、そのまま東京観光をすることになりました。

車で東京にきたので、新宿、皇居、浅草など回ってくださり、ハムゼも大喜び!特に浅草は、ダマスカスのハミディーエに似ているといってとても喜んでいました。ちょうどライトアップされている時間だったので、絶景でした。浅草の雷門には、子どもたちが喜びそうなおもちゃ屋さんもあり、ハムゼは自分の娘2人にお土産を買っていました。買い物にいってもなかなか値段が高くて買い物ができない様子でしたが、”これ!”というものが見つかったようです。

その後、慶應の宿舎に戻ったのが、夜9時。ちょうどNHKがシリアやヨルダンの番組を放送していたので全員で視聴しました。国を追われたパレスチナ人を追った番組だったので、ハムゼはこういう内容の番組が日本でも放送されていることを知り大変喜んでいました。

2007-09-29

江ノ島へ


鎌倉で田邊先生と別れてから、鎌倉に住んでいる山本さんと合流し、さらに江ノ島観光に行ってきました。山本さんは、NPOパレスチナ子どものキャンペーンというところで長年活動しており、シリアにも何度もきたことがあるし、実際にガザやヨルダン川西岸でパレスチナ難民支援などもしているため、ハムゼは彼とあえてとても喜んでいました。彼に会うのは2回目で、感動の再会でした。

江ノ島では、長い長い階段に言葉を失うほど疲れているようでしたが、末端にある洞窟に入ると、その疲れを忘れるかのように楽しんでいました。シリアにも洞窟はあるけれど、みんなゴミを捨てたり、きちんと管理していないので、このように人が楽しめるような場所にできたらいいなぁ、と言っていました。

洞窟に入って、映画のセットみたいだと非常に感動しているハムゼをみて、体力的にも全員ヘトヘトでしたが、がんばってきてよかった、と心から思いました!

しかし、帰りもまた同じ道を通って戻らなければいけなかったため、さすがに疲れきってほとんど会話なしに戻りました。江ノ島から鎌倉に戻り、山本さんが車で湘南台のハムゼの宿まで送ってくれたので非常に助かりました。山本さん、ありがとう!

毎日、授業分析、ディスカッションの繰り返しで、ずいぶん頭ばっかり使っているので、運動もできてリフレッシュできたのではないでしょうか。

鎌倉へ


今日は、田邊先生、植野さん、私、ハムゼの4人で鎌倉に行ってきました!

田邊先生は午後から別件が入っていたのですが、午前中いっぱいは鎌倉周辺を車で周ってくれました。あいにくのお天気だったのですが、逆に混んでいなかったのでゆっくり観光できました!
ハムゼの友達が鎌倉の大仏をお勧めしていたらしく、日本に来る前から、どうしてもいきたいと言っていたので、それが実現できてとても喜んでいました。
田邊先生は歴史にも地理にも詳しいので、観光するだけではなく、日本を歴史的な視点からも捉えながら文化をしれたのは非常にハムゼにとっても貴重な体験だったのではないでしょうか。
田邊先生、本当にありがとうございました!

2007-09-28

情報教育(高校3年生) (2)


世界の飢餓をテーマに、①データの見方=情報活用能力、②記事の作られ方(データをどのように解釈して記事が作られるのか)=情報を読み解く力、③データーベースへのアクセスの方法=情報活用能力についての力を養う。

授業は以下のように組み立てられていた。
(1)調査世界の飢餓について、どの国が食糧難で、どの国が支援しているかについてWFPのWEBページのデータをみる。
UNのWEBをみることで、UNのことを知る、世界の国について知るなど社会の内容を盛り込んでいる。
→各自1台のPCを使って、データを見る。自分たちのペースにあわせてデータを探せるため、自律的な学習につながっている。
ワークシートを利用することで、生徒の逸脱行動を防ぐ。生徒は自分が今何をしなければいけないかを明確に知ることができ、ワークシートに従えば、達成速度に違いがあっても、全員が同じタスクをこなせるようになっている。

(2)分析これらのデータを下に、どのような記事が作られているかWFPの記事を読む。さらに日本の新聞のデータベースにアクセスし、他の記事がどのように報道しているかを見る。→新聞により解釈が異なったり、一つの事象にも複数の原因があることを知ることを目的とする。※プロの記者がどのようなプロセスで新聞記事を作るかを知ることができる。まずはDATAをあたり、ある特定の視点からデータを解釈し、記事を書く。他の新聞記事をみることで、その解釈や視点の違いを比較することができる。

(3)創造新聞のタイトル、何の新聞か、内容、日付、ポイントそして、自分の意見をまとめさせる。記事をそのまま理解するだけでなく、記事から自分が何を読み取ったのか、何を解釈したのかワークシートにまとめさせる。まとめさせる作業は宿題になっていた。

次回は、実際に学習したことをシュミレーションゲームを利用して、バーチャルではあるがリアルな状況に適応させてみる。利用するプログラムはWFPが提供するFood Forceというプログラムである。http://www.food-force.com/index.php/game/downloads/
この授業もUNRWAのワークショップで紹介するのに非常によい事例になるだろう。BLOOMのタキソノミーに当てはめて授業を分析すると、ICTがどの場面で活用することができるのか明確だ。ハムゼも積極的に生徒や教師に質問紙授業を観察および分析していた。

情報教育(高校3年生) (1)




この授業もとてもユニークだった。授業の中には2つの活動が盛り込まれていた。これまでに実施してきたWEBページ作成と今後取り組むFood forceを使った活動である。まずは、前者のWEBページ制作について報告する。

授業の流れは以下のとおりである。
(1)テーマの設定
・ 学校に行くまでの道で自分が友達に紹介したい場所を探す
・ 調査を行う(インタビュー、情報検索など)

(2)表現活動・ Dream Waverを使ってホームページを作る

(3)相互評価
・ 1人の生徒は3人以上の生徒のWEBをみてそれを評価する。評価の基準は教師が準備し、それに準じて評価する。名前は匿名とする。

(4)フィードバックと修正・ 他の生徒に評価してもらった内容に基づいて自分のWEBページを修正する。

これまでもずいぶんハムゼとディスカッションしてきたけれど、ICTは、何か教育目的を達成するためのツールである。しかしながら、どのようにICTを使った授業をデザインするかはまだはっきりしたイメージは持てていなかった。理論はしっかり理解できていてもそれを実践するとなると大事なポイントが抜けてしまったり、誰かがICTを使った授業実践をした際にも、その評価実践を評価する際、「ツールとしてのICT」という部分の評価が甘い。そこで、実際にICTを使っている授業がどのように組み立てられているのか(授業設計)について詳細や注意すべき点について詳細に教えてもらった。この授業は、いい事例としてUNRWAで紹介できそうだ。

保健教育


見学させてもらったのは保健のオオシオ先生の授業でした。授業はとてもよくデザインされており、生徒たちも興味をもって授業に参加しているのが見てすぐに分かりました。

授業の内容は、「アルコールの害」についてでした。イスラム教ではアルコールは基本的には禁止なので、このテーマにハムゼも大満足。詳細を知りたいというので逐一通訳しました。

授業の流れは次のとおり。
(1)テーマの決定・Grouping・Lecture・Investigating information ・Decide/ Focus on their interest to learn more
(2)分析・Investigation・Various perspecives based on data・Create own opinion (Applying their own prior knowledge to real situation)
(3)まとめ・Judgement・Presentation・Suggestion/ Recommendation (Creativity)

テーマの決定:まず教師はアルコールについて授業をし、その後グループ(班)をつくりました。それぞれの班ごとにアルコールの害に関する新聞記事を取り上げるように指示。

分析:その記事を加害者の立場、被害者の立場、医者の立場、弁護士の立場、裁判官の立場、一般市民の立場など様々な視点から分析し、最終的に自分たちの意見をまとめさせていた。

まとめ:まとめたものを各班で発表。最終的には分析するだけではなく、こうしたほうがいい、といった提案をする。たとえば、ある一つの班は、キャッチコピーを創って持ってきたり、またある班は、法律を改正するならこうしたほうがいいという提案をしていた。

表現活動、Team teaching、Class management



今日は以下の3点についてディスカッションしました。


1)Team teachingをどのようにUNRWAの教育に適応させるか

2)表現活動の大切さとそれをどのようにUNRWAに適応させることができるのか。

3)クラスマネージメント

授業見学(慶應義塾湘南藤沢中・高等部)2日目


今日は、様々なタイプの授業を見学することができました。どの授業もそれぞれ特徴があり、非常に参考になるものばかりでした。詳細については、後ほど報告します。

見学した授業は以下のとおり

・ 1時間目 高1 保健の授業 「アルコールの害」
・ 2時間目 中3 情報の授業 相互評価のフィードバック 食糧危機に関する学習 新聞記事データベースの検索
・ 3時間目 高1 地理の授業 気候区分 教科書からの発展 内容は大学レベル
・ 4時間目 高1 科学の授業 実験 データのまとめ
・ 5・6時間目 高3 選択情報「表現活動」 クレイアニメーション発表会6時間目以降 大学奥田教授の授業参観「イスラーム」

その後、ハムゼの宿舎にて、岸、植野、ハムゼの3人で以下の3点についてディスカッションをしました。
ディスカッション(1)効果的なTeam teachingとUNRWAの学校への適応可能性について
ディスカッション(2)表現活動の重要性とUNRWAの学校への適応可能性について
ディスカッション(3)UNRWAでManagement Class Skillをどう育成するのか

これまでもディスカッションや振り返りはしてきたのですが、日本とシリアの教育システムを比較するだけにとどまり、それをどのようにUNRWAに適応できるかというところまではディスカッションできていませんでした。日本の教育を知り、理解するだけでは、UNRWAの教育に貢献することは難しいでしょう。既に日本にいるこの時点でしっかり考えていかなければいけないと思いました。そこで、今日からディスカッションの際には、必ず「日本の教育システムで参考になる部分があれば、それをどうUNRWAの教育に適応できるのか」という視点をいれることにしました。実際、この視点を入れることで今日のディスカッションは非常に意味のあるものになりました。新しいことを創造したり、知識を構築していくことはすごくエネルギーがいることですが、非常に意味のあることなので、がんばってこれを続けていきたいと思います。

写真 大学の授業

2007-09-27

プレゼンテーションは授業かどうか(慶應義塾湘南・藤沢中・高等部)


今日は、”プレゼンテーションは授業かどうか”について、岸、植野、田邊先生そしてハムゼの4人で2時間以上ディスカッションしました。全員が自分の主張と相手のことを理解しようと必死で、だいぶエネルギーを消耗した感じはありましたが、非常に有意義なディスカッションができました。ハムゼの言葉を借りれば、”知識というものはディスカッションの中で構築され、強化される”そのものを全員が実感したと思います。

ディスカッションのきっかけは、今日の午前の4コマの授業でした。
1時間目は、45分間ハムゼが一人でしゃべりっぱなしで、3割ほどの生徒が集中できずにいました。そこで2時間目からは、岸、田邊が授業のデザインを以下のように修正しました。
1)田邊先生がウォーミングアップとして、今後生徒たちが取り組む課題について説明、確認させる。
2)岸は、3人一組のグループをつくり、それぞれのグループから1つずつ質問をだすように促す。質問をする前段階の動機付けとして、ハムゼ氏がパレスチナ難民であること、ハムゼ氏は国連で働いていること、パレスチナ問題について簡単に説明し、その後ある程度生徒が食いついてきたところで、グルーピングし、質問を考えさせた。
3)その質問に対して、ハムゼが英語で答える。その際、田邊先生が通訳兼生徒が分かりやすいように情報を補足、岸は、ハムゼが話している内容に該当する写真をスクリーンに映し出し、さらに、ハムゼが話している内容を(通訳し)瞬時にタイピングし、テキスト情報としてスクリーンに映し出した。

このような流れの中で、以下の点についてディスカッションすることになりました。
①生徒に動機付けさせるにはどうしたらいいのか。
②プレゼンテーションは授業かどうか
→プレゼンテーションは授業ではない、というハムゼの主張に対して、「プレゼンテーションや講義も授業の一環として捉えることができる、つまり、学習者中心のアプローチ(LCA)だけが授業ではない」、という私たちの主張がぶつかりました。ハムゼは、すべての授業に、プレゼンテーションやグループワークは必ずいれなければならないと言い張り、私は、「授業をデザインするのは、方法が前にあるのではなく、目的がある上で、それを達成するために最も適した方法をとるべきだ」と主張。

私が思うに、ハムゼの頭にはまだプログラム学習のように、A→B→Cというステップをふむことが重要でその枠組みで”授業”を捉えているように思います。様々な活動を盛り込むことで、生徒を集中させることとができるとハムゼは言いますが、方法が動機付けを促すのではないと私は思います。こうしなければいけない、という枠組みに縛られて、生徒をみない授業ではなく、生徒と教師の相互作用の中で授業というものは作られいくことが必要になります。こういうLCAのコンセプトでここをしっかり理解していないと、形だけのLCA実践になってしまう恐れがあります。実際、この点について改善していかなくてはいけない課題なのですが。ハムゼの視点をよりもっと理解し、その社会的・文化的背景を考慮しながら、UNRWAという学校文化に適応したLCAの形を追及したいと思います。

テレビ会議(慶應義塾湘南・藤沢中・高等部)


今日は、4時20分からUNRWAの学校の生徒とテレビ会議を実施しました。
予定では、4時20分から1時間程度を計画していましたが、交流時間は30分程度。 その理由として、
①UNRWA側がネットカフェにいくのが遅くなり開始が10分遅れた。
②UNRWA側がWEBカメラの設置に時間がかかりさらに10分ほど開始が遅れた。
③田邊先生に急用が入り、予定時間より早く終わらせる必要があった。
④UNRWA側も、授業がある生徒(午後の学校に行く生徒)のため、早めに切り上げたかった。
ということで、だいたい30分程度の交流となった。

交流内容は事前に教師間で共有していなかったので、正直すごく不安でしたが、非常にいいコミュニケーションができたと思います。その理由は以下の3つ。
①田邊先生が事前に生徒に話させたいことを準備していた。
→今回は、リサイクルについてUNRWAの生徒に伝えたいということで、実物を準備し(田邊先生が)、内容を英語で話せるように生徒に事前に準備させていた。
②慶應側の生徒がUNRWA側のアクセスを待っている間、ハムゼが生徒に対してシリアの環境問題やゴミ事情について話をしてくれ、生徒も英語でのコミュニケーションになじめた。
③UNRWAの生徒が描いた絵が手元にあったので、それを土台にして相互の会話をすることができた。

①に関しては、どちらかというとONE WAYな情報伝達だったけれど、③は慶應の生徒がお気に入りの絵を選びそれについて質問し、UNRWAの生徒が答え、またそれに対してコメントや意見を言う、といった双方向の会話ができた。この様子をみて、交流学習をデザインする上で大切な要因を3つ発見した。

・ 双方で共有できる情報が手元にあること。
→ただし、その情報というものは、教師が用意したものではなく、生徒が準備したもの、または制作したものがよい。なぜなら、作品を作った生徒は、自分の作品を評価してほしいため、質問しようとする。また、自分のお気に入りを選んだ生徒は、それについてもっと知りたいと質問しようとする。このように、”動機付け”として、実物や生徒が直接関わった作品を用いるのは非常に効果的だと思った。

・ 映像がなくても、音声がクリアなほうがコミュニケーションがとれる。
→もちろん映像があったほうがいいが、音声にタイムラグがあるとイライラするが、音声がはっきり聞こえるとある程度みんな対応しようとする(一生懸命になる)。ナロウバンドなので、映像が無理な場合は、すぐにでも音声でのコミュニケーションに切り替えるなどしたほうがいい。

・ お互い名前を覚えあうように努力したほうがいい。
→今回UNRWA側の生徒は全員私が知っている子たちだったので、テレビ会議の前で自己紹介するとき、結構さらっと流してしまいがちな自己紹介だけれど、”この子がハヤだよ。ハヤっていってみ”、”ハヤ、今あなたが会話しているのはマヤだよ”などお互いの名前を確認させ、誰と話しているか意識させることで、会話しているほうが、”今自分は・・と会話をしている”という意識がうまれるようだ。生徒の顔写真と名前を見せるような工夫を今後したほうがいいと思った。

今回は、お互い話したい内容やもっと知りたいことなどがあり、質疑応答がいろいろできたのでよかった。今後慶應側が環境に関する絵を完成させ、その後ポスターを作り、UNRWAにフィードバックする。本当の学習活動になるのは、フィードバックしたあとなので、今後の活動が楽しみだ。

慶應義塾湘南・藤沢中・高等部 1日目


今日は慶應義塾湘南・藤沢中・高等部での研修の一日目でした。
ハムゼはやはり疲れがとれないようでしたが、久しぶりに田邊先生と再会できとても嬉しそうでした。
田邊先生は、UNRWAでの教員研修でも一緒に活動しており、現在は自分の担当の学年(2年)とUNRWA間で協同学習をするなどもしています。

午前は、初日ということで、一緒に勉強する生徒たち(中学校2年生)に対して自己紹介およびシリアやパレスチナのことを知ってもらうために、4クラス(4時間)でプレゼンテーションをしてくれました。毎回内容や活動内容を改善し、いいプレゼンテーションができたのではないでしょうか。実際慶應の中学生も興味を示してくれていました。

午後は、少しハムゼが疲れているようなので急遽、ハムゼの宿泊施設に行き、そこで休憩。とても快適な宿なのでハムゼもずいぶん気に入っていました!その間に、NPO法人ブロードバンドスクールの小堀さんがUNRWAで課題となっている教師間の情報共有に非常に有効なツール”GLOOVE"を紹介してくれました。さらに、今後UNRWAでも活用したいというハムゼの希望を聞きいれ、なんと2万円もするプログラムを無償で提供してくれることになりました!国際交流学習でも利用できそうなプログラムなので積極的に活用し、事例と評価をセットでフィードバックしたいと思います。ありがとうございます!小堀さん!

十分に休憩をとってから、次は、UNRWAの生徒とのテレビ会議を実施しました。田邊先生の生徒とUNRWAの生徒は半年前からテレビ会議や掲示板を通した交流学習を実施しています。今日は5回目のテレビ会議です。詳細についてはまたのちほど報告します。

テレビ会議終了後は、慶應義塾湘南・藤沢中・高等部の教師全員にハムゼを田邊先生のほうから紹介していただき、その後、部長(校長先生)にご挨拶し、宿泊施設へ。

その後、岸、植野、田邊先生そしてハムゼの4人で5時半から7時半の2時間にわたって、熱狂したディスカッションをしました。ディスカッションの内容についてものちほど報告します。

【今日のプログラムは以下のとおりでした。】
・ 1時間目~4時間目 中学2年生に対するシリアについてのプレゼンテーション
・ 5時間目 ハムゼの宿で休憩
        NPOブロードバンドスクールの小堀さんから、GLOOVEというプログラムについての説明を受ける。
・ 4時20分~5時 UNRWAの生徒とテレビ会議
教員全員に対してハムゼの自己紹介
慶應義塾湘南・藤沢中・高等部の部長にご挨拶
・ 5時半から7時半までドミトリーでディスカッション

2007-09-26

ハムゼ 再び関東へ


大阪プロモーション事業を終え、そのまま関東へ。

ハードスケジュールでしたが、明日からは慶應義塾湘南藤沢中・高等部での研修があるため、ハムゼにはだいぶがんばってもらいました。

今日は、藤沢の中村家にホームステイさせてもらい、しっかり栄養のあるものをごちそうになり、旅の疲れを癒してもらいました。ありがとう、みささん、たけしさん!

2007-09-24

学会3日目


今日は、私が昨日自分の発表が終わったのでハムゼが興味をもつ発表を片っ端から通訳しました。

学会初日は国際セッションがあり、一日中英語の発表があったのでよかったのだけれど、2日目は私の発表があり、ほとんど関わることができず(午前中だけの発表だったので午後はホテルに戻って休憩)、3日目になってようやく日本の教育工学研究者が何に関心、問題意識を持ち、どのようにそれに対応しているのかということ知ることができたようです。

ハムゼが特に興味をもった発表のタイトルは以下のとおりでした。
・教育の情報化に関する諸外国の先進事例調査

NIMEのH先生、大阪教育大学のK先生、和歌山大学のN先生、富山大学のY先生の研究にずいぶん興味を示し、ずいぶん質疑応答をしていました。先生方もハムゼの質問に対してしっかり対応してくださり、英語のプレゼンテーションデータを分けてくださったり、ハムゼもずいぶん刺激を受けていました。

この発表では、日本でもICT教育を政府は推進しているが、なかなか進まないため、その阻害要因を調査し、それに対する対処策をイギリスや韓国の事例から調査するというものであった。阻害要因として、①教師のICT能力、②機材の不足、③(ICTを機材として使う能力ではなく)ICTを使ってどのように授業をすればいいかが先生が分からないこと、④機材を教室に持ち運ぶのに手間が掛かること、つまり準備が大変であることなどがあった。ハムゼはその説明を聞いて、自分たちUNRWAでも同じ問題を抱えているため、非常に興味を示し、これらの問題解決のため、どういう取り組みをしているのか熱心に説明を受けていた。

キーワードになったのは、ICTを活用した事例を教員同士で共有化していくという取り組み。これについては、課題研究の発表でも少し述べられ、ずいぶん関心を示していた。教員同士の情報共有や相互作用について今だいぶ理解をしてきているようなので、今後UNRWAで実施しているTeacher's Learning Community の取り組みにも役立つかもしれない。

午後は、課題研究に参加した。発表は内容は以下のとおりでした。
① 中等教育における授業と連動したe-Learningの実践と検証
② 小学校の教科指導における効果的なICT活用場面の分類
③ 電子黒板の普及モデルの構築に向けた活用状況の調査
④ ICT活用授業による学力向上に関する相互的分析評価

13時半から16時までの2時間半ぶっつづけで通訳したのでだいぶ疲れましたがハムゼがこの課題研究で得たことは非常に多かったようです。UNRWAでも同じような問題をかかえていて、それがどのように問題解決されているのかは非常に参考になったのではないでしょうか。

今日の学会発表を踏まえ、今後しっかりディスカッションしておきたい点は次のとおり1)デザイン研究(デザイン→実践→学習モデル(デザイン原則)→再デザイン・・)2)ICTを利用する場面について(どういう場面(導入、展開、まとめ)で利用するのか?何を目的として?3)教員同士でどのように事例を共有するのか(Class→Outcome→Library of case study→Class design/Apply to class)4)ICTの効果についてどの調査するのか →ICTの効果については、生徒の状況、個人の学習スタイル、社会的・文化的文脈、教師の指導方法、信念などに影響される。つまり、単にICTを使えば、学力が向上したり、意欲があがるというわけではない。様々な要因が関連しあっているので、これら様々な要因をどのようにデザインするかを考えていくことが必要である。

非常に有意義な3日間だったと思います。明日は大阪に帰り、大阪がプロモーション事業に参加し、その後は、また東京に戻って、慶應での研修に入ります。明日一日だけは、ハムゼにとっては2週間ぶりの休憩になりそうです(苦笑)

2007-09-23

ディスカッション

夜10時から11時半の1時間半、ハムゼと二人でディスカッションをした。
この4年間UNRWAで教員研修などをしてきて、いつも直面していた問題。
それは、”UNRWAの教師は、自分たちの実践も、人の実践も評価することができない”ということだ。
評価をするのは、スーパーバイザーだけ。つまり、自分たち自身が自らの実践や他者の実践を”評価をする”ことをしてこなかった。評価の仕方が分からないのだ。

たとえば、ワークショップの際、いつも問題視していたのは、自己評価シートやワークショップの評価をしても"It was great!", "It was very useful for us", "We learnt many things from the workshop", "His lesson is excellent" などである。つまり、なぜ、そうなのか、ということを自分たちで解釈できない。

私たちは、小学校のころから美術や体育、音楽など情操教育の中で、もちろん、主要科目の中でも(特に国語など)「あの人の絵は、色使いがいいなぁ。」「あの人の作文は論理的で分かりやすいなぁ」、「なぜ、自分のプレゼンテーションは他の人に伝わらないのだろう」という他者と相互に作用しながら自分を振り返る。ところが、UNRWAの学校ではその部分が完全にかけているため、LCAといいながらも、子どもたち同士で活動させっぱないし、それを評価する方法、次の課題を見つけるということをさせていない。そのため、形だけのLCAだけで終わってしまっている。

だから、ハムゼも学校見学にいっても、「これがよかった」「S先生の考えはすばらしい」「三箇牧小学校からたくさんのことを学んだ」とはいうものの、それがどういう意味を持つのか、なぜ、それがいいのかまでは、解釈できていない。形だけしかみていないのだ。そこには、クリティカルに自分のことを振り返り、それを土台にどのようにそれを解決していくかという創造的な思考にまでいたっていない。

たとえば、ハムゼは、「教師同士のコラボレーションが日本で一番学んだことだし、これがUNRWAでできればすべての問題が解決できる」といっていたが、そう単純なものではない。日本の先生のコラボレーションや高いモチベーションは、文化的なもの。小学校から、学校という学びの共同体で学習しているため、コラボレーションができるが、そういう文化がないシリアでそれをどう実践にもっていけるのか、また教師のモチベーションに関しても、教職や教員になりたい人を支援するシステムがなく、単に教科の専門家が先生になるシリアでは、なかなか難しいこと。こういう社会的・文化的背景を考慮して、どのように教員のコラボレーションを作っていくのかをハムゼでデザインしてもらいたいと思う。そういう目的があったほうが、問題意識や目的意識をもって学校見学ができると思う。

学校見学から学んだことをディスカッションして、理解を深めてもらうと思っていたけれど、理解を深めるだけではだめだということを今回自分の反省点として学んだ。つまり、学んだことから新しいものを創造(Create)することが重要なのだ。私は、今回まで”理解”に焦点を当てすぎていた。明後日から慶應での研修が始まるのでそこではハムゼにとって、創造的な学習活動ができるようにデザインしたいと思う。

ではどうしたらいいのか。そこでヒントになったのが、シンポジウムでの鈴木先生と吉崎先生の言葉だった。

「すぐれた実践が何故優れているのか解釈しないと、次(他者)に伝えられない。その解釈を支援するのが研究者の役割である(鈴木先生)」だと。また、吉崎先生は「教師が気づかなかったことを、研究者によってリフレクションできることが大切だ」といっていた。

なるほどと思った。目的思考とその目的と達成するための方法が抜けていたのだ。ハムゼが今後、UNRWAの教育実践をよくしてくためには、単に、「日本でこんなことを見てきました。」「こういうところがよかったです」と理解したことを紹介するだけではなく、だからこそどうすべきか、という提案までしていなければならない。提案するためには多くのステップがあり、
①新しい情報や考え、視点を得る
②自分たちの教育や実践の問題点を振り返る
③問題点を明らかにする
④問題点を解決するための提案を考える

そして、「提案」のためには、また更なるステップが必要になる。
①ある理論に基づいて、事例を研究し、モデルを作ったり、学習環境をデザインしたりする。
②実際にそのモデルやデザインが妥当であるか、有効であるかを調査する。
③妥当である、有効であるとみなした場合、それを提案し、普及に取り組む。

もちろん、「普及」させるのは簡単なことではない。それにも多くのステップが必要になる。
普及についてはロジャーズの普及学を参考にすればいいと思うけれど、どちらにしろ、それぞれの地域の特色や、文化的・社会的文脈があるので、自分が提案したモデルやデザインを修正しながら、より精密されたものにしていく必要がある。

こう考えると非常に研究の流れに似ていると思った。そこで、今後の方向性として、UNRWAの状況を考慮してどのように日本で学んだことをUNRWAでの教員研修に行かせるか、ということを考えていくため、研究のステップをとりたいと思う。何を目的として、どのような理論をつかって、ワークショップや実践をデザインし、どのようは手法でそれを評価するのか、ということを考えてもらう。そして、シリアに帰ってからも、その方法で調査を行い、分析できるような力をみにつけると、以上のような問題を解決することができるかもしれない。

この件については、久保田先生とじっくり話をして決めたいと思う。

東京


ひさびさに人が多い場所にきて、ハムゼのテンションはすごく上がっています。
研修の場所はほとんど田舎が中心なので、人通りの多いヤルムークが恋しかったのでしょう。
久保田先生が昨日、今日と夕食に招待してくれ、いろんな大学の教授や研究者と交流がもて、ハムゼにとってもとても有意義な時間だったのでしょうか。
特に、先日トルコ料理の店にいったときは、非常に喜んでいました。
ハラールという肉以外は食べれないイスラム教徒のハムゼにとって、ひさびさに羊の肉など食べれたのは、感慨深かったでしょう!

ところで、今日、宿泊先の池袋で若い青年が、駐輪している自転車を倒しながら歩いていました。道徳的に許されるわけではありませんが、7,8人の青年で、関わらないほうがいいと思い、私は歩いている方向を変えたのですが、ハムゼがそれをみて、「倒した自転車を元に戻せ」とハムゼが彼らに注意したのです!

一瞬かなり焦りました。7,8人の青年は、ハムゼを囲むようにして、肩に手を回したり、絡んできました。私がアラビア語で(彼らにわからないように)関わらずにさっさと帰ろうというのに、「大丈夫だ、彼らはとてもフレンドリーだ」といって、さらに、自転車を直すように指摘し、ほんと冷や汗をかきました・・・。彼らの一人は一台だけ元に戻し、その後その一台からさらに何台もの自転車を倒しました。酔っている感じではなかったのでおそらく、問題を起こしたい青年集団だったのでしょう。ハムゼは私の言うことをきかないので、私はかなり大声で怒り、ようやくハムゼは青年の集団からなんとか逃れてきました。

シリアでは外国人をみると、「どこから来たの?」「何語を話すの?」「名前はなに?」と好奇心で集ってきます。ハムゼはそんな感覚で彼らを見ていたのでしょう。だから、絡んできたとき、単に「とてもフレンドリーな青年が自分に興味を持っている」くらいにしか思わなかったと思います。

自分が生まれ育った環境で創られた価値や習慣、視点を通して異文化を見ることはよくあることです。自分も、異文化をみるとき、自分の価値観や視点にとらわれて、本当にそこで起こっていることを正しく解釈できないこともあります。そういう時は自分の価値観や視点を批判的に見直し、反省するのですが、ハムゼはそんなことをしたことがないし、自分の考えを批判的に見るということを普段しません。改めて、異文化を理解するということはどういうことか、ということを考えさせられました。ふぅ~。何も無くてよかった・・・。

2007-09-22

学会発表


前日に、UNRWAの教師12名に対してとったデータを分析、夜の1時にプレゼンテーションの発表スライドが完成。それから練習を重ね、寝不足なまま学会会場へ。本当はもっと余裕をもってできればよかったのですが、分析のための時間を確保するのが難しく、前日まで延ばしてしまいました。

しかしながら、ハムゼの発表は立派なものでした。学会というのは初めてにもかかわらず、普段から人の前にでて発表することに慣れているのか非常にプレゼンテーションは上手でした。内容も、一応は研究の手順に基づいて、研究目的をもって、そのための方法を説明し、データに基づいた結果を示していたのでOKでしょう!十分に考察されたものではないけれど、データ分析の結果を示したという点では評価できます。

十分にハムゼの発表に興味を持ち、今後一緒に協調学習をしたいと連絡先を交換しに来た人も大勢いました。ハムゼは今回の学会発表を通して、自分たちの活動に興味を示してくれている人がいることを確認でき、非常に自信をつけたみたいです。

発表スライドは今回だいぶ私のほうで修正しました。プレゼンテーション研修をうけたばかりだったので、是非とも、その成果をみせてもらいたかったのですが、ハムゼがつくったスライドは分かりづらかったです。今回もまた反省なのですが、たとえば、「スライドは、情報量が多すぎないように」「文字の大きさは大きめに」などルールに従えばいいプレゼンができると思っているようです。例えば学会だと、対象者のほとんどが研究者になるので、内容に重点をおくべきであり、内容がしっかり論理的に組みたたられているかが重要になります。ところが、形だけにこだわりすぎて、内容が整理されておらず、非常にわかりにくかったです。スライドの作り方、PPTの使い方だけではなく、どのように構成するのか、論理的に見せるためにはどうすればいいか、という点についてもしっかり抑えなければいけないと思いました。

2007-09-20

滋賀大学教育学部附属中学校1日目

9月20日は滋賀大学教育学部附属中学校へ
ハムゼと今野さんと学校見学に行きました.
訪問した時はちょうど教育実習期間ということもあり
50名近い教育実習生が滋賀大学から来ていました.

こうした教育実習の点もハムゼには新しい事だったと思います.


滋賀県内でも,成績の良い子供達が集まる学校という事もあり
また国立大学の附属中学校という事もあり,凄くユニークなシステムを取り入れていました.

授業で見て回ったのは三つの内容で


・中学校二年生の情報の授業

・教育実習生が行っていたカードを使った異文化理解教育

・クロスカリキュラムを取り入れたビワコタイム


中でもビワコタイムはハムゼにすっごく印象的だったのではないでしょうか?
実際の授業内の実践ではないのですが,クロスカリキュラムの中で
生徒達が1年生から3年生で一緒のグループを作り
自分達で興味のある事について,考え,調べ,議論し,発表していく.
自主的に取り組む姿はLCAの概念と似通ったものがあると感じました.

しかしハムゼはこれを普段の授業の中で盛り込みたいようでした.


それともう一つ,ハムゼが興味を持っていたのが生徒会のシステム
生徒達が投票で生徒会長を決める仕組みや生徒会の下部にあたる
各運営支部などがどのような形で運営しているのか

また,生徒達が組織運営の中で決めた決議内容に対して
教師達はどのようにしているのかなどを
積極的に質問していました.

ハムゼはこれをシリアにも取り入れたいけど,まだまだやる為には
課題が山積みである事を十分に気づいていたのですが
こうしたシリアのUNRWAの学校とまったく違ったシステムを知ったことは
ハムゼにとって大きな意味を持った学校見学になったと思っています.

大阪プロモーション4日目

9月19日は水曜日,9月の水曜日はOFIXが行っている
大阪プロモーションの日です.

今回で4回目となった大阪プロモーション
大阪駅構内にある砂時計を見るたびに
「大きい時計」
というハムゼ.

今思えば,一番最初の大阪プロモーションで日本語研修を行ってから
もう早くも一ヶ月ほど過ぎていると思うと本当に時間の流れは早いと思います.
ハムゼもそれを知ってか

「時間はとても早い,でも時間が欲しいです.」

とこの日も電車の中で話していました
ハムゼの日本語を覚える早さに驚くばかりです.


四回目の大阪プロモーションは

・大阪市環境局舞洲工場
・庭窪浄水場
・アサヒビール工場

の三つの施設の見学,移動にはジャンボタクシーを使ったようです.

ハムゼはムスリム(イスラム教徒)なので,アルコールは飲まないし
しかもラマダンに入ったばっかりということもあり
アサヒビール工場見学はどうなるんだろうと思っていたんですけど
帰りに迎えにいったら
真っ先にビール工場での話をしてくれました.

大阪プロモーションを通してハムゼが出会った国の人は日本人以外に
モンゴル・スリランカ・ニュージーランド・イギリス・中国の人々が一緒に行動したこともあり
本当に異文化の中でさらなる異文化コミュニティだったんだと思います.
だからこそ,日本以外の国を知るいいきっかけにもなったと思います.

2007-09-18

今月の小学校訪問は終了!次は来月津島小学校へ!


小学校訪問は今月終わりました。
来月は、岡山県の津島小学校にいきます。

その際に、先生のお願いしたいことは以下の通り。
①高次思考力を育成するための取り組み
②シンキング・ツールを使った活動があればみてみたい。
③生徒会、委員会の子どもたちが主体となった活動をみてみたい。
④どのようなデジタルコンテンツがいいのか、またどのような場面で何を目的に利用するのか。

3つの小学校を見学したので、しっかりその振り返りをする機会を作りたいと思います!

※写真は、ハムゼがシリアについて話している様子。
4年生を対象に、シリアのこと、学校のこと、文化について話しました。
みんなの前でお祈りをしてくれるなど、とってもみんな興味津々でした!

三箇牧の学校見学を通した感想


ハムゼが、三箇牧の見学の最中に、「もし自分がこのような学校の教師ならば、きっと一生教師という職を辞めようと思わないだろう」と言っていました。それくらい、学校の雰囲気、生徒との関わりに感心したようです。ハムゼが特に日本の学校から学びたいといっていた点について書きます。


① 日本の学校には多くの「自由」がある。
UNRWAの学校では、教師の許可なしに発言したり、立ち歩いたりすることはできない。しかし私が授業を見ている限りでは、子どもたちはのびのびしていて、教師との関係も非常に近い。教師と親しそうに話し、とても信頼しているように見える。


② 教師と生徒、生徒同士の人間関係、コミュニケーション
見習うところの一つは、教師と生徒の関係性、また生徒同士の関係性だ。学校での生活を通して生徒は実に多くのことを学んでいる。どのように他者と共同すべきか、他者を理解し自分がどうふるまうべきかを学ぶ。学校の中にこのようなコミュニケーションを促進するための工夫がなされている。


③ 学校全体がLearning Communityもしくは家族のような共同体になっている
すでに協働学習をする土台が学校にはある。いっしょにご飯を食べ、掃除し、遊び、運動(組み立て体操など)を通し、他者と一緒に学ぶという姿勢が育っている。UNRWAのほうに、学校は勉強する場所だとしてみなしている限り、なかなか授業の中だけで、LCAをするのは難しいかもしれないが、不可能ではないので、その可能性を探りたい。


④ すべての先生が美術や音楽の知識、技能がある
音楽や体育というのは、主要科目と同じくらい重要なもので、身体を動かしたり、他者と関わる中で多くのことを学ぶ。ところが、UNRWAの学校では、教科担任性なので、こういう取り組みを教師ができない。社会の中に絵を書かせる活動や、国語の中に音楽を組み込むということができない。日本の教師はある程度みんなが美術や音楽の知識があるため、必要に応じて様々な学習活動を授業に組み込むことができる。楽しみの無い授業は、生徒にとっては刑務所と一緒だ。授業を楽しく、魅力的なものにするためにはやはりこういった遊びの要素や楽しい要素を普通の授業の中でも組み込んでいかなくては成らないと思う。

スーパーバイザーの仕事 日本と比較して


UNRWAは、Education, Health, Social Serviceの3点の特に重点を置いて活動しています。
その中でもEducation(教育)には非常に力をいれています。たとえば、4000人の雇用者のうち3200人は教育関係に携わっている職員です。

そのため、教育関係の支援体制もしっかりしています。
ハムゼの役職はスーパーバイザーなのですが、日本でいう指導主事です。
ところが、日本の指導主事は、毎日授業を観察し教師を指導するというUNRWAのスーパーバイザーとは違います。どちらかというと、月ごとに様々なワークショップを準備し、夏には幅広いワークショップや研修を準備し、教師に来てもらって研修を実施する。教師への指導は、公開授業、研究授業の際に相談に乗ったり、困ったことがあれば学校に赴いて問題解決にあたります。


このようなシステムの違いにも興味を示していました。特に興味を示したのは、日本の学校の先生は、自主的に自分の興味のある研修に参加するということです。つまり、シリアでは、スーパーバイザーがワークショップや研修の準備をしても、ほとんどの教師が集まらないが、日本の教師は(もちろん上からの命令もあるが)自主的に自分の技術や知識を増やすためにこういった研修に参加する。

日本の場合、教師になる場合、教職免許をとり、試験をうけ、教師になれる。教師は、教育心理学から、教育理論、指導法など技術や専門に限らず、幅広く教育のことについて知る必要がある。ところがUNRWAの場合は、大学を卒業したあと、自分の専門の科目が数学、理科、社会、フランス語など基礎科目であれば教師になることができる。つまり、教師になるつもりがなくても、たまたま教師にあったという人も多い。

では、どのように指導法などを学習するのか。


UNRWAでは、新しく教師として雇われた人は1年間の研修を受ける。ヨルダンには、Institution of Education developmentというところがあり、そこは国際的な教育システムを適応した制度がある。この制度にのっとって、ヨルダンの専門家たちが年に3度ほどシリアに来て、新しく教師になる人を指導する。年に3回は少ないので、週に1回は、シリアのスーパーバイザーが彼らを指導する。ある程度力がついたとみなされれば、彼ら・彼女たちは教師になることができるというシステムだ。

研修の間の1年間の待遇についてはまだ詳細は聞いていないが、週に一度の研修だけでは、もちろん十分な教授・学習法や理論について学ぶことができない。そういう意味で、新しく教師になる人たちに対する支援活動を今後一層充実させていかなくてはならないだろう。

調べ学習(三箇牧小学校 社会)


ハムゼは、前々から調べ学習に大変興味を持っていました。
調べ学習こそが、LCAだ、と思っているのですが、もちろん、それをさせるためには様々な準備や活動があります。今回は、4年生の社会(N先生)の授業を見学させてもらいました。

今日の4年生の社会の授業は、車についての調べ学習でした。
近いうちに、トヨタの工場へ見学にいくということで、今の学習を課外学習につなげるということです。

学習の流れは次の通りです。
1)教室で、教科書に書いてある車についての授業をする。(TCA)
2)児童が興味をもった点や疑問、質問についてワークシートに書かせる。(LCA)
3)その疑問や質問に対して、自分の意見をかかせる。(LCA)
4)コンピュータ室で、その問いを捜すための調べ学習をする。(LCA)
5)自分の考えが違っていれば何故違うのか、また調べ学習を通して何か発見できたかについて教室で発表し、他の児童と意見を交換する。(LCA)

今回は、4)の調べ学習の授業をみせてもらいました。この活動の流れはワークシートで順番が示されており、児童は、ワークシートを順番に埋めていくことで、どのように答えを導き出すかを学ぶことができる。このシートがたまたま、ハムゼが興味を示すシンキングツールと一致していたので、とても興味をもっていました。ワークシートに書いてあった項目は以下の通り。

①知りたいこと、疑問に思うこと
②予測
③調べたこと
④分かったこと
これは、シンキングツールでいうとPSDR(Predict, See, Do, Reflect)に似ています。

N先生はシンキングツールを参考にしたわけではありませんが、自分の経験知から子どもたちにどのような順番で学ばせたらいいのかを知っていて、経験を基にワークシートを作ったようです。これについても非常に興味を示していました。


LCAのための準備のプロセス(三箇牧)


今日は、授業だけでも、もちろん学ぶことは多かったのですが、さらに、放課後に15名ほどの教師がハムゼのために集まってディスカッションの時間をとってくださいました。

その中でハムゼが疑問に思っていたいくつかの点について、質問し、理解を深めることができました。


ハムゼの質問・疑問点
1) 分類をさせている授業をみて、とても印象的でした。分類をいうのは、高次思考能力を育成するための大切な学習の活動の一つです。また、社会の授業でも、シンキングツールを利用したワークシートで、生徒の思考を支援している場面がみられてとても興味深かったです。このように、生徒の高次思考力の育成を目指すような取り組みもしくは、その他のシンキングツールなどはありますか?あればみせてもらいたいです。

→(教師の答え)実際シンキングツールを使っているわけではなく、教師が自分の経験知から、どのようなステップで生徒に考えさせればいいかを考え、それをワークシートにしているだけです。ワークシートは基本的には、作ったものは学年の先生同士で共有したり、前年度の先生から引き継いでもらったりして利用しています。


2)前回、西田先生の数学の授業をみて、デジタルコンテンツを非常に上手に使われていると思いました。このようなデジタルコンテンツを準備するのはきっと大変だと思いますが、準備としてどのようなことをされていますか?生徒にとって良いとされる教材をどのように確保するのですか?

→(教師の答え)高槻市が提供しているコンテンツもあれば、インターネットから教材をダウンロードすることもあります。今日本ではたくさんのデジタルコンテンツがあるのでそれを利用することができます。ただ、インターネットから教材を探すとなると、あまりにも情報が多すぎるのでなかなか「適切な」教材を選ぶのは困難です。そこで、教育関係の雑誌の付録についているCDにあるデジタルコンテンツや、雑誌などに記載されているURLをたどって、捜すことが多いです。また、Y先生といって、学年ごとに利用できるデジタルコンテンツをフォルダにまとめてくれる先生がいます。そのため、彼が見つけてくれたデジタルコンテンツを利用することも多いです。また、他の先生がいい教材を見つければそれはみんなで共有します。


3)Y先生といいましたが、どういう先生ですか?

→(教師の答え)担任を持っていないのですが、ICT教育一般の担当をしてくれます。コンピュータを使う授業があれば支援に入ってもらったり、各学年で利用できそうなデジタルコンテンツをみつけて、それをまとめてくれたりしています。彼のような人もいますし、教師同士の情報交換や情報共有も多いので、スムーズにシステマティック準備をすることができるようになっています。


4)シリアでは、教師は年間計画以外にも、毎回の授業の計画を作って校長先生にみせ、校長先生がOKを出せばその授業をすることができます。日本ではどのように授業案を作っているのですか?

→(教師の答え)日本では文部科学省が学習指導要領を出しているのである程度は、その枠組みにしたがって授業をします。しかし、もちろん、生徒の基礎学力や状況によって内容を工夫する必要があるので、教師は単元ごとに授業案を作ったりもします。


5)西田先生の授業で、とても興味をもったのは、メリハリのつけかたです。授業でICTを使うとなると多くの課題があると思います。たとえば、準備や、生徒がICTに慣れない、集中しない、などがあると思います。どのように授業を工夫されているのですか?

→(教師の答え)工夫する点として

①子どもたちがどこまでできているか隣の子同士で確認させるなど、必ず目標が達成されているかどうかのチェックを行います。どこかでチェックをする時間をとることで、だいぶスムーズにいくことができます。

②子どもたちのやる気を維持するため、様々な工夫を入れます。たとえば、折り紙をいれたり、考えて話させたり、プロジェクターを使ったり。LCAをするというよりもむしろ、その都度、子どもたちがどのようにすればやる気をもって取り組めるのかを考えてTCAかLCAかを決めます。

三箇牧小学校からの教師からの質問
1)パレスチナ人としてアイデンティティを大切にしなければいけないのにもかかわらず、多様な価値観や視点を育成するLCAを取り入れることで、不都合はないのか。
→(ハムゼの答え)アイデンティティやアラブとしての意識や価値観を維持することの責任はすべてカリキュラムが担っています。そのためその教え方は、TCAであろうとLCAであろうとかまわないのです。つまり、教え方に限り、LCAを採択したいと考えています。それに、アイデンティティの問題に焦点を当てるのであれば、子どもたちは幼いころからパレスチナ人としてのアイデンティティを家族教育の中でしっかりされているので、その点については問題がない。それに、政策としても、UNRWAのすべての学校の名前にパレスチナの地名や川や山の名前をつけていて、子どもたちが何かの形でパレスチナのことを自然に学習できるような工夫もしています。

つまり、質問の意図は、パレスチナ人の子たちが、自分たちに対して迫害しているイスラエルやアメリカに対して寛容な心や、多様な価値を持ち受け入れても大丈夫なのか?ということに対し、ハムゼは、アラブとしての意識を維持するのは、学習方法ではなく、カリキュラムであると答えていた。私はここに少々疑問を感じた。LCAというのは、学習方法、学習内容そして評価を切り離して考えることはできない。その点について後でハムゼとディスカッションしなければいけないと思った。

2)ハムゼが考えているLCAとは?日本のLCAとは違うのでは??
日本では、何か学習目的があって、それを達成する方法として、TCAやLCAを組み合わせて授業を設計する。UNRWAの学校はどうか?
→(ハムゼの答え)UNRWAの学校でLCAを促進する際、授業の中に15分でもいい、5分でもいいから必ずLCAの学習方法を取り入れるように指導しています。その背景として、伝統的な教授法に固執している教師は、教科書に書いてあることが知識のすべてであると考えています。しかしながら、生徒たちは家でも地域でも様々なことを学び、様々な情報を学校に持ち込んできます。教師が、教科書だけの情報を扱うのではなく、授業の一部に生徒が持っている知識を活用するような活動を私たちはLCAであると考えています。そうすることで、授業で学習したことが、自分たちの生活にも活かされると信じています。

三箇牧小学校訪問 2日目


休み明けです。
今日は再度三箇牧小学校へ訪問しました。
前回訪問していて、ハムゼも知っている先生、児童がいるため、楽しそうにしていました。

今日のプログラムは以下の通りでした。
1時間目:校長先生とディスカッション
2時間目:国語(3年生) 漢字の部首を知る、猫の分類
3時間目:図工(1年生) 折り紙でクジャクを作ろう
4時間目:家庭科/社会(5年生)
5時間目:シリアについてハムゼがお話をする(対象4年生)
4時~6時:学校の先生とのディスカッション

今回もまた前回とは違う視点での発見が多くあったようです。
また、前回の課題であったTeacher Cetner ApporachとLearner Centered Approachをどのように組み合わせるかなども実際の授業でしっかり見ることができたと思います。

三箇牧小学校の先生方、そして、今回撮影および通訳にきてくれた今野君、三浦くん、ありがとう!

2007-09-17

ハムゼの家で食事


今日は一日の終わりにハムゼの家でみんなでご飯を食べることにしました。
とても小さい部屋なので、ぎゅうぎゅう詰めですが、なんとか5人入りました。
「ラマダンは普段は家族全員でご飯をたべるが、こっちにきてから一人でご飯をたべてすごく寂しかったよ。食事はこうでなければね」と、ハムゼが言うのを聞いて、なるべく食事の時間なども誰かが一緒にいれるようにできればなと思いました。

休みの日なのに、みんなだいぶ疲れてしまいましたがいつもと違う疲れだしよいでしょう。
ずっと運転してくれた今野君、ありがとう!

信楽へ


平等院の後、せっかくなので信楽までやってきました。
信楽は陶磁器で有名で、実際に自分で陶磁器を作ることもできます。
アイチもとっても興味を示してくれたので、チャンレジすることにしました。

ところが、ハムゼは「大人は泥では遊ばない」といって、陶磁器を作る気は全くないと拒否します。
ああ~~!どこまで頑固なんだ!!!といいたいところですが、泥を触るということは、彼の住んでいる地域では全くない文化なのです。
実際、三箇牧小学校で、泥だんごを作っている児童をみて、「なんであんなことをやっているんだ。他にも遊ぶところなんてあるのに、どうしてだ」と理解できない様子だったのを思い出しました。

でもせっかく信楽まできたのだからと説得し、やってもらうことに。
一人ではできない、というので、KENに手伝ったもらうから、という条件ではじめました。
ところがやりだすと、「本当は努力すればもっといいものが作れる」なんていいながら、すごく熱心にやっていました。結局とても楽しかったみたいなのでヨカッタヨカッタ。

新しいことをするということは、これほど抵抗があり、勇気がいることなんだなぁ、と少し思いました。
私は何でもチャレンジするタイプなので、あまりハムゼの気持ちはわかりにくいのですが、この1ヶ月どっぷり関わってみて、どんなに長くその国(シリア)に住んでいたとしても、本当に人の心にあるものは表面的に関わったり、話しているだけでは分からないと思いました。一緒に何かをするなかで、あれ?というところをみつけ、その中で、本当にその人を理解し、異文化を受け入れれるようになると思いました。

平等院鳳凰堂


現在ラマダン中です。
ラマダンというのは、日がある間は食べたり飲んだりしません。
この期間は、イスラム教徒にとってとても神聖な期間で、人にやさしくしたり、家族を大切にしたり、忍耐強くしたり、寛容である必要があります。

しかし、この期間、一人でラマダンをするのは大変だし、家族がいないので、聖なる月間にひとりで過ごすのはすごく寂しく辛いことです。そこで、今野君、鎌田くんと相談し、少し気晴らしにドライブに行くことにしました。ドライブだと歩く距離も多くないし、おそらく体に負担はかからないでしょう!

ちょうど、台湾からアイチという友達もきていたので、5人で京都の平等院鳳凰堂へ。富田からはすぐにいける距離なのです。

ハムゼが住んでいるヤルムーク難民キャンプは緑はほとんどない地域です。一方日本には緑に恵まれ、自然との調和のもとで多くの建造物が作られてきました。平等院鳳凰堂は、10円玉にも描かれている場所で、ハムゼも「こういうところに住めたらなぁ~」と一部始終言っていました。

とはいうものの、イスラム教のハムゼは、あまり神社や寺というものは、「物」として捉えるだけで、そこにある日本の聖なる空間を感じることはしませんし、しようともしません。宗教って強いし、逆に自分の信念を他者に押し付けることで、お互いが嫌な思いをすることもあると思いました。(たとえば、お参りしているときに、”こんなところに神がいるわけではない。そんなことしても無駄だ”とか、神社の鐘で遊ぼうとしているのを注意すると、”神はこんなことでおこんらない、なぜならここにはいないから”とか、”祈るときは”ビスミンラー”と言え、言え、言え”と後ろから執拗にいってきたりなどなどなど。

イスラムのことを理解し、アラブに4年以上関わっている私でもやっぱりカチンとすることもあります。異文化理解って本当に難しいし、理解っていうのはほとんど不可能だな、と思いました。なので、寛容であれるように努力をしたいと思います。

2007-09-16

Web ワークショップ


今日は日曜日。休息日なのですがハムゼが「あっという間に2ヶ月なんてたってしまうので、3日(連休も含め)も休みたくない!!!」というので、今日急遽WEBのワークショップをすることにしました。

WEBのワークショップを担当してくれたのは、Web Desingerとして働いている美貴子さん。プロのWeb designerとして働いていて、シリアでもAODBEのインストラクターのヤスコさんと一緒に教員向けのWEBワークショップをしてくれた人です。

シリアで実施したWEB研修とは違うアプローチでのWEB制作、つまりPHOTOSHOPを使ってデザイン重視のWEB制作をしました。Webといっても、制作だけではなく、プロがどのようにWebを制作するのかそのプロセスや理論をまず学習し、その後、実際にWebを作ってみました。

今回ハムゼが作ったWEBは、現在UNRWAで実施している教員コミュニティ(Teachers’Learning Community TLC)のトップページです。美貴子さんの忍耐強い指導のもと(修正するべきところは多いですが)完成しました!2時半から(夕食の時間を含め)10時まで、がんばってやっていました。ラマダンで空腹と睡魔もあったろうに、今日の集中力もすごかったです。

『今日のWebワークショップの流れ』
1)なんのためのWebを作るのか。
2)Web制作のチームワークとその役割(Web director, Writer, Contents collector, Web designerなど)
3)リスニングシート
4)プランニングシート
5)TLCのWebを作るためのプランニング(Vision, Mission, Objective, Layout, Design, Color, Web map, Target, Budget, Contetns)
6)実際に制作 (Photoshop, HTML, Dreamwaver)

指導してくれた美貴子さん、ありがとう!

2007-09-14

ICTを利用した授業(三箇牧)


5時間目にみた授業は、西田先生のICTを利用した算数でした。

単元は、「三角形」の作図で、プロジェクタを使って非常に上手に説明されていました。

ハムゼはこの授業をみて始終興奮していました。ICTを教室で使っている実践をみるのは今回が初めてです。西田先生が準備したデジタルマテリアルとワークシートの組み合わせ方、指導の仕方、発問、メリハリ、机間巡視に非常に興味を示していました。


① デジタルマテリアル

② ワークシートと折り紙(教材)

③ 指導の仕方

④ 発問

⑤ メリハリ

⑥ 机間巡視


詳細については後ほど。今日は頑張って報告したので、1時間以上たってしまいした・・・。

高次思考力(三箇牧小学校)


今、ハムゼが何に関心を持っているかというと、「高度思考力」と「ICT」「動機付け」そして「評価」。自分が学校で見たい視点がだいぶ定まってきたようです。はじめの2回の学校見学では、特に何かをみるというか全体的に学校をみていたようですが、だいぶ自分の関心の視点が定まってきたようです。


今日の、2年生の発表の授業で、児童の発表に対して、他の児童が質問を作るという活動がありました。前の報告にも書いたように「いい質問を使うことは、高次思考力が必要になる」という点については、ハムゼも同意しているようです。ただ、質問の内容、質に興味を示していました。


例えば、今日のテーマは、「あったらいいな、こんなもの」で、児童は「100倍たまる貯金箱」「食べたら幸せになるキャンディ」「鉛筆と消しゴムが一緒になった光るペン」といったように自分たちのイメージを発表していました。それに対して、質問では「何色に光るのですか?(光るペンについての発表)」といった、発表の内容をより詳細に知るための質問が多かったようです。ハムゼはそれに対して、「なぜ、それがほしいのか」ということを聞くことが、高次思考力につながる、といい、児童に対して「なぜ、君はその光るペンがほしいのか」と自らが質問していました。児童は、躊躇することなく「間違えたときに消しゴムを出すのが面倒なので一緒になっていると便利だと思ったからです」と応えた。


ハムゼにとっての高次思考力とはなにか?ディスカッションの中に「なぜを問うこと」と捉えている気がする。しかし、高次思考力とは、単に「なぜ」を追求するだけではない。もう少し、そのことについてもしっかりつめて、理解を深めていかないといけないと思った。

児童の評価をどうするのか?


ハムゼが今日特に気にしていたのは、児童の評価でした。
どの学校にもポートフォリオ(学習記録)が置いてあり、まずそれについて非常に感心を示していました。和光小学校では、モジュール学習の結果を蓄積し、図にして児童の基礎学力をモニタリング、強化していましたが、今日の授業でやっぱり注目していたのは、授業中に配布された評価の観点表でした。自己評価、他者評価、ルーブリック、ポートフォリオについても、18日に是非先生たちにお話を聞きたいと思います。

Teacher Center と Learner Center をどう組み合わせるのか(高槻市三箇牧小学校)


4時間目には、2年生の国語の授業を見学しました。
児童は、”あったらいいな、こんなもの”をテーマに自分たちで文章をつくり、それについて発表します。


2年生は2クラスあり、1組は、島型のレイアウト、2組はコ型のレイアウトの授業だったので、それぞれ半分ずつみせてもらうことにしました。

授業の中には、本当にたくさんの”工夫”がありました。ハムゼが興味を示したのは、以下の4点です。


① いい発表をさせるために、事前に評価の規準を示していること。
② 発表のあと、児童が質問したり、発表のコメント言ったりすること
③ Learner Centerの実践の一つであったこと
④ 高次思考能力との関連性

①に関しては、教師が事前に、人の話をきく、声を大きくして話す、内容をしっかり読める、といったいくつかの観点を児童に示し、児童はその観点を意識しながら発表できるようになっていました。ルーブリックに興味を持っていて、ルーブリックではないものの、評価の規準を事前に児童に示し、意識させるという点では、非常ににた効果があるこの方法にずいぶん興味を示していました。

②に関して。日本語が分からないので、内容については言及できないのですが、児童の発表のあと、他の児童が積極的に質問をする、または、「声が小さい」といったコメントをする姿勢に興味を示していました。私の意見になるのですが、「質問を作るということは、思考力を育成するいいきっかけ」だと思っています。他者の発表をしっかり聞いて理解しようとしなければ、いい質問はつくれません。こういう「質問を作る」という作業についてハムゼとよりディスカッションしたいと思います。また、ここでは相互評価とまではいかないのですが、発表について分かりにくかったり、声が小さかったりすると他の児童が意見するというのは、ハムゼにとってはまた面白い取り組みだったと思います。

③についてですが、これについてもしっかり議論する必要があります。ハムゼは、この1つの授業をみただけで、これがLearner Centerだ、と言っていましたが、このように児童に発表させるまでには実に様々な工夫と取り組みがあります。授業終了後、担任の教師に話を聞きました。発表までのプロセスは次の通り:
1)教科書の例をみんなで一緒に勉強し、共有させる(Teacher Center)
2)「あったらいいな、こんなもの」について、なんでもいいのでアイデアを全部出させる(ブレインストーミング)
3)イメージを絵で表現させる
4)自分が一番やりたいことについて一つ選ばせる
5)文章を作れるようにいくつかの観点を記入したワークシートを配布する。
6)そのワークシートを土台に、文章を作らせる
つまり、Teacher CenterとLearner Centerを相互に組み合わせた結果がこの発表なのである。一つの授業や単元の中にも、それぞれの目的にあった学習方法がある。一概にLearner Cetnerにすべきだと主張するのではなく、どういう目的があるからどの学習方法を適応させるかについてしっかり考える必要がある。これについても、しっかりディスカッションしていきたいと思います。

※ハムゼがいうには、すべての授業に、5分から7分のLearner Center(協働学習やグループ学習)を入れるべきだと主張していました。トップダウンンでこうしろ、と言われるのでもちろんUNRWAの先生が従いますが、なぜそれをするのか、ということは理解できてません。なぜなら、指導する側もその辺を理解していないからです。まずは、その辺をしっかり押さえる必要があると思いました。


高槻市三箇牧小学校 体育祭の意味


UNRWAの体育のスーパーバイザーは、日本に研修にきているのに、どうして、今のような授業をさせるんだろう、とハムゼがぼそっと言っていました。

今日は、3・4年生合同の体育祭の練習をみせてもらいました。3・4年生は宮城の踊りをするということで、一緒になって練習していました。

ちょうど昨日、和光小学校で5・6年生が北海道のヨサコイ踊りをしているのを見ており、和光小学校も高槻小学校も、なぜ地元である大阪の踊りではなく、遠い地域の踊りをするのかハムゼはだいぶ疑問だったようです。この疑問に校長先生が丁寧に答えてくれました。

”体育といっても単に、体を鍛えるものではありません。宮城の踊りを通して、宮城と大阪の違いを知る、また、宮城の文化を理解することで自分たちの住んでいる地域をより理解することができるのです。子どもたちは、この踊りに入る前に、インターネットや図書館で宮城について調べ、どの場所にあり、どんなものを人は食べ、どんな文化があるのかなどについて調べます。そうやって宮城のことを知り、理解した上で、宮城の踊りを学びます。つまり異文化理解の一貫でもあるんですね。さらに、子どもたちが踊りで使っている扇子は、美術の時間に子どもたち自身が作ったものです。つまり、こういうイベント(体育会)に向けて、宮城の踊りをすることで、体育、社会、コンピュータ、美術など様々な科目が絡み合った学習になるのです。”

この校長先生の説明を聞いて、なぜ和光小学校で沖縄の踊りをするのか、なぜ三箇牧が宮城の踊りをするのかを理解したようです(実際、和光小学校でも校長先生がしっかりこの点について説明してくれていたのですが、ラマダンで集中力がきれていたのか、小さなスリッパで足が痛くて集中できなかったのか)頭に入っていないようでした。


さらに、こういう活動の中にも、Teacher CenterとLearner Centerが組み込まれていることにも非常弐興味を示していました。踊りを習得するには、教師指導の訓練ですが、踊りを作るプロセスの中で衣装や振り付けなど児童の意見を反映させて、修正、改善していく。児童は、よりより踊りを作るために先生に意見をいい、それを教師は反映させて踊りを作る。こういう2つの教授・学習法を組み入れる一例を体育を通して知れることはハムゼにとってもショックが大きく、大きな気づきだったようです。

ハムゼは、このような取り組みにずいぶん興味を示し、こういう取り組みをUNRWAでも積極的に導入し、クロスカリキュラムを促進したいと話していました。

※UNRWAでも、このような体育のイベントがあるのですが、これに参加するのは特定の生徒だけだそうです。UNRWAでの体育のイベントは、完成度の高いものを、つまり美しいことを作ることが目的で、このプロセスで生徒たちが様々なことを学ぶものではありません。しかし、もちろんこれには、社会・文化的背景があり、このようなすばらしい壮大なダンスを見せることで、パレスチナ人としての連帯感や誇りを全体的に共有するためのものだったりするのです。文化の違いによって、体育の捉え方、イベントの捉え方はずいぶん違うようです。これについては、競争(Competition)の考え方の根本的な違いにも現れましたがそれについては後ほど報告します。

高槻市三箇牧小学校 Teacher Center か Learner Center か




【Teacher Center か Learner Center か】


Teacher Center か Learner Center かについて、今日はこれまで以上に理解を深めることができました。このきっかけをくれたのは、校長先生の話でした。


山本校長先生のお話

「私が小学生のころは、一斉授業が中心で、Teacher Cetnerによる学習は、今の日本の教育においてもやはり土台になる。日本人は、経済復興の中で、均質、勤勉の人たちで、この100年の歴史をみても、一斉授業での一定の成果を挙げてきた。ところが、同じように学習すると、積極性に欠けることがあったり、誰から教えてもらうことになれるため、社会に出たときに、自分で問題解決したり、調べたり、工夫したり、新しいことを創造する際に困難にぶちあたることがある。特に、社会にでると、小さなグループから大きなグループによる仕事が多いため、コミュニケーション能力やコラボレーション能力が必要となる。そこで、Teacher CenterからLearner Centerに移行(Shift)するのではなく、それをどう組み合わせるか、それが今後非常に重要になってくるでしょう」


この話を聞くまで、ハムゼの頭には、Teacher Center VS Learner Center という図ができてたようです。和光や北小学校では、Teacher Centerが中心で、伝統的だ、といっていたのですが、なぜ、Teacher centerを適応したのか、というその背景についてしっかり理解していませんでした。Learner Centerにもっていくためには、教師は様々な準備をしなければいけません。勝手に”さぁ、やってください”といってLearner Centerの授業ができるわけではありません。ところが、ハムゼの理解では、「どんな授業でも必ずLearner Centerを取り入れなければいけない”と主張し、なぜ、適応しなければいけないのか、どういう場面で、どういう児童に対して、という情報や配慮が欠けているようでした。


そこで、二攻対立の考えではなく、どのように組み合わせるのか、という視点が新たに生まれてきました。これは非常に大きな成果です。これについては、しっかり話し合って、理解を深めていきたいと思います。もちろん、これについて理解することは、ハムゼだけでなく、私にとっても非常に重要で勉強になることなので、一緒にこの課題について考えたいと思います。

三箇牧小学校 児童個人の理解度に合わせた学習


児童の学習到達度は各それぞれ異なり、教師は児童の個々の学習進度に応じた授業を計画していくことが、最近注目されるようになってきました。

とはいうものの、じゃぁ、どうやるんだ?といった時、なかなかその答えを出すことは難しいです。
E-learningやWeb based learningが、児童の学習進度に合わせた学習を提供する、という人も多いけれど、ツールやプログラムを児童に与えるだけで、児童が勝手に学習するわけではなく、もちろん教師の支援やScaffolding(足場作り)は必要不可欠です。

このような疑問に対してヒントを与えてくれる授業実践をまず見学する機会を得ました。

授業は、6年生の算数。授業はコンピュータールームでした。授業は以下の3つのステップで構成されていました。
   1)みんなでスタディ
   2)つづきをスタディ
   3)ひとりでスタディ

1)”みんなでスタディ”は、教師が主導になって全員で問題を解いてみる。いきなり教師が「さぁ、やりましょう」といっても、プログラムの使い方、学習の進め方などが分からないと、せっかくいいプログラムを準備しても、そこにたどり着くことができない。そこで、個々の学習をする前には、その前準備として必ずみんなで一緒にいくつかの問題を解いてみるということです。

2)”つづきをスタディ”というのは、みんなで問題を解いたあと、個々の学習進度に応じて、問題を解いていけるというものです。あらかじめ与えられた質問を、個々の理解度に応じて時間をかけながらすすめていきます。児童の問題を解く様子をメインコンピュータで確認できるため、教師はつまづきのある児童がいれば、そこにいって手助けをします。手助けのいらない児童はどんどん自分ひとりで進めていきます。

3)”ひとりでスタディ”は、すべて問題がとけた児童は、自分が弱いと思うユニットをもう一度繰り返し練習することが出来ます。もちろん、もし5年生の単元で弱いところがあれば、学年を超えてどの学年の練習でもやることができます。児童は自分で何を勉強しなければいけないか内省し、自ら課題をみつけ、それを解いていきます。

この一連の授業をみて、ハムゼは、以下のような質問を先生にしていました。

① これらのデジタル教材は誰が作ったのか?
② どれくらいの頻度でこのようにコンピュータをつかった個別の授業をするのか。
③ このような個別の学習の際の教師の役割は?
④ なぜ、数学は複数の先生がつくのか。
⑤ つまづきのある児童に対する対処は?
⑥ 特に優秀な生徒にたいして、他の学校や他のクラスと競争(Competition)などがあるのか?
⑦ 授業以外の活動に、優秀な生徒が集まって(先生に指名された生徒など)が受けれる特別な授業はあるのか。

①②に関しては、これらの教材は高槻市が提供したもの(インタラクティブスタディ)というもので、教師は、単元が一通り終わると、児童の弱いところを強化するためにこのような個々の理解度に応じた授業をコンピュータルームでするということでした。つまり、Learner Centerをするまえにまずは、Teacher Centerでしっかり基礎学力をみにつけさせる。この点から、のちに、Teacher center と learner centerについてずいぶん議論することになりました。どういう場面で、どの対象にLCAが適応できるのか、LCAをするための前準備は何か、ということです。これについてはまた、報告します。

③④⑤に関して。できる児童は勝手に一人でもどんどん進めていくが、つまづく児童ももちろんいる。其の場合、まずは自分で解決するようにプログラムが促す(問題が解けない場合自動的により簡単な問題に移行するなどする)が、それでも解けない場合、教師が支援する。数学は基本的には、Team teachingであるため、2人以上の先生が児童の学習を支援する。PCルームを使うときは、PCが得意な先生などが応援にきてくれ、3人になることもある。このようにコンピュータルームで個々の理解度に合わせた学習もするが、教室にもどっても、つまづきの可能性がある児童には、レベル別に分けたワークシート(beginner, intermedia, advanced)を配り、つまづいた場面をしっかり乗り越えれるように何度も復習を繰り返し、問題解決をしている。


⑥⑦に関しては、UNRWAとの文化的・社会的背景が違うため、その後校長先生としっかりディスカッションしました。ディスカッションした内容は「Competition」に関する考え方の違いですが、これについてはまた後に報告します。

高槻市三箇牧小学校 学校見学


ハムゼにとって、今日の学校訪問は目が覚めるほど学ぶことが多かったようです。

実は、現在ラマダン2日目で、なかなか体のシステムが断食に適応せず、昨日はずっと疲れた様子+眠そうな様子でした。せっかくなのに、、、とこちらとしてはブツブツ文句を言いたくなるような感じなのですが、ここは宗教や習慣を尊重して、なるべく無理のないようなスケジューリングを組むことにしました。

ところが、三箇牧小学校の授業をまず1つ見学しただけで、ハムゼの目がキラリ!と変わりました。ノートとペンを話さずひたすら先生から聞いたことをメモし、先生から話をたくさん聞き、多くのことをディスカッションしました。実際ハムゼも、「今朝は疲れていて乗り気ではなかったけれど、授業をみて、今はあなたよりエネルギーを感じます。学ぶことも大きし、とてもすごいです」といっていました。実際、今日は一日疲れた様子を見せず、精力的に先生の話や校長先生から話をきき、UNRWAの教育と比較しながらお互いの教育について議論しあいました。
三箇牧小学校は、ICT教育に力をいれていた学校なので、ちょうどハムゼが疑問に思っていたこと、知りたかったこと、みたかった実践とマッチしたようでした。今日見学させてもらった授業は以下の通りです。
1時間目:校長先生からのガイダンス 児童集会での紹介
2時間目:6年生 算数(コンピュータ室):インタラクティブスタディを活用し個々の児童の理解度に合わせた学習。
3時間目:3・4年生 運動会の練習 (体育館)
4時間目:2年生 国語(各教室) ”あったらいいな、こんなもの” 児童の発表
5時間目:4年生 算数 プロジェクタを使った授業実践

詳細については、また報告します!

2007-09-13

寝屋川市和光小学校 ソーラン節


それぞれの学習活動は、様々な目的を持っています。たとえば、体育というものは、単に健康のためではなく、様々な成長のプロセスを支援するための活動でもあります。
今日は、5・6年生が合同で実施するソーラン節の練習(運動会にむけて)を見学し、ハムゼもいろいろ感じたものが多かったようです。たとえば、以下の2点のようなことです。
① 6年生が5年生に教えるという伝統が、低学年の児童にとってロールモデルとなり、責任感を生んだり具体的な自分の活動や目標をイメージすることができるようになっている。
② 組み立て体操やソーラン節など、全員が一緒になって完成することで、ゴールに達する。つまり、個人活動や自分勝手なことをやるといつまでたっても完成しない。他者との協働、協力をこういう場でも育成することが大切である。(つまり、協調性やコミュニケーション力を育成することを目的とした協働学習だけではなく、科目の様々な場面で協調性やコミュニケーション能力といった部分が求められ、それを育成するためのデザインやしかけを入れることができる)
表面的な学校見学だけだと分かりにくいことも、校長先生をはじめ様々な先生が、活動の内容やその意味を詳細に話してくださり、非常にハムゼにとっても有意義な授業見学ができたと思います。
和光小学校の校長先生、先生方ありがとうございました!
そして、一緒に随行してくれた院生の笹尾君、ありがとう!通訳や説明を含め非常に助かりました!

寝屋川和光小学校 モジュール学習


特に、ハムゼが興味を示したのは、モジュール学習でした。
モジュール学習では、45分間を、「書く」「算数」「読む」の3つにわけて学習する方法です。

児童の集中力を維持するために効果的であることと、これを持続的に続けることで、児童が自分の学習の成果をポートフォリオや図で確認できることなど様々なポジティブな学習効果があるそうです。

これをはじめたきっかけとして、和光小学校では以前までドロップアウトの児童がいたのですが、その理由を、①基礎学力の弱さ、②生活習慣の問題と捉え、この2つを対処するため様々な取り組みをしているそうです。①の基礎学力をしっかり身につけさせるためにはじめたのがこのモジュール学習で、その成果はしっかり出ているそうです。実際、ドロップアウトの児童は0になったということです!(もちろんこれには複数の要因がありますが、基礎学力をしっかり身につけさせ、授業についていけるようにすることも要因の一つでしょう!)

寝屋川和光小学校訪問(1)


今日は、寝屋川和光小学校を訪問しました。
校長先生がとても気さくな方で、ハムゼとすぐに仲良くなっていました。
学校の雰囲気もオープンで先生方も児童も笑顔がたえない学校でした。


今日からラマダンがはじまり、午後は、ハムゼはだいぶ疲れた様子でした。
せっかく日本まできて貴重な体験をしているのであれば、このときばかりはパワーを出すためにも食べたり、飲んだりしてほしいと思ってしまうのですが、宗教に関することはもちろん口出しできません。


とはいっても、1時間目から6時間目までのすべての授業を見学し、さらに休み時間は児童と交流し、時間が空けば先生たちとディスカッションするなど精力的に頑張っていて、やるべきことはやっているのでよいでしょう。


今日見学した授業は以下の通りでした。
1時間目 基礎学力強化のためのモジュール学習
2時間目 国語(1年生)
3時間目 音楽(沖縄音楽を通して沖縄の文化と大阪の文化を知る)
4時間目 英語
5・6時間目 運動会の練習(ソーラン節)

どれもハムゼにとっては新しいことも多く、非常に有意義でした。校長先生が自ら一緒に授業に参加し、細かいところまで説明をくださったので、ハムゼも言葉が分からなくても、それぞれの学習活動の意味をしっかり理解できたと思います。ハムゼが興味を示した点については、あとでまた詳細を書きたいと思います。

2007-09-12

大阪プロモーション3日目

9月12日はハムゼにとって3回目となる大阪プロモーションへの参加でした.
ハムゼは大阪駅構内なら集合場所までいけるらしいのですが
どうしてもまだ電車に乗っていく事に不安があるそうなので
大阪駅までの往復に付き添って来ました.

この日は

・よみうりテレビ
・朝日新聞
・大阪市立科学館

の見学をしてきたらしく
帰り際にハムゼから朝日新聞社から作ってもらったオリジナルの新聞を見せてもらいましたが
ハムゼたちが載っている新聞にびっくりしていました.

この日はちょうど安倍総理が辞任を発表した事もあり
新聞社やテレビ局など各メディアが大忙しの日に
見学できたハムゼはすっごくラッキーだったと思います.


その後,ハムゼの家で
恒例となりつつある日本語の勉強を行いました.

日本語研修から帰って来てからハムゼの日本語の成長は目を見張るものがあります
この日も研修でもらったテキストをもとに動詞について勉強しましたが
本当に飲み込みが早くて私は驚くばかりです.

ハムゼが日本からシリアに戻る日まで二ヶ月を切っていますが
どのくらいまで成長するのか楽しみに思いながら,今後も日本語の勉強をサポートしたいと思います.

2007-09-11

寝屋川市北小学校訪問(文化体験)


北小学校は、地域の人との連携が非常に強いです。今日は、習字のプロの方と、茶道のプロの方がいらして、授業をされていました。そこで、茶道のプロの先生がハムゼにフラワーアレンジメントと茶道を体験させてくれました。

これらについてはハムゼにとって新しいことばかりだったので、驚きの連続だったようです。美しい日本菓子にもずいぶん感動していました。本当に校長先生には、感謝しきれないくらいよくしてもらいました。ありがとうございました!

寝屋川市北小学校訪問(ハムゼの感想)


今日は、授業をじっくり見たわけではないので、授業内容や教授・学習法については意見できませんが、全体を通して3つのことを学ぶことができました。


一つは、学校の設備、そして、2つめは先生同士の協力体制j、3つめは、学習障害を持った子に対する対応です。


(1)学校の設備について
私たちの学校(UNRWAの学校でもシリアの学校でも)、プールや体育館といった設備はありません。プールにいけるのは、ごく限られた生徒だけで、夏休みの間にお金を払える家族が2日間ほど通えるだけです。ほとんどの生徒たちが泳ぐというチャンスを得ることができません。この学校は工事中で不都合が多いと校長先生はいいましたが、この状態でも、シリアの学校のどの学校よりも設備や管理がしっかりしています。


(2)先生同士の協力体制について

各授業をみると、学習内容は決まっているとは思いますが、教授法が先生によってだいぶ違うという印象を受けました。おそらく、授業の方法は先生の裁量に任されているのでしょうね?私たちUNRWAの学校では、この期間にこれを教えなくてはいけないということが厳しく決められています。そのため、ほとんどの先生が教科書を中心とした授業を行い、その授業方法はほとんどが同じです。カバーしなければいけない内容が多いだけではなく、教え方についても指導をうけるので(スーパーバイザーによって)、その影響を受けているというのも理由です。


様々な授業をみて、学年の先生方が協力している姿をみてとても印象的でした。学年の先生が一緒になってどのように進めるのか相談しているというのを聞いてそれも非常に印象深かったです。私たちUNRWAの学校でももちろん先生同士のコラボレーションはあります。しかしながら、学校間と言うよりむしろ、学校外の先生、つまり教科同士の先生同士です。UNRWAの学校では、4年生から教科担当性になるので、学年で取り組むという考えはあまりありません。


(3)学習障害を持った子に対する対応

今日は、学習障害をもった子の授業をみてびっくりしました。こういう特別クラスがあるということは非常にすばらしいことです。UNRWAの学校はシリア全国で180校ありますが、たった1つだけヤルムーク地区に新しく学習障害をもった子のための学習施設ができましたが、まだほとんど機能していません。学習障害の専門をもった専門家はいますが、先生とどのようにコラボレーションすればいいのか、またどのような取り組みをしていけばいいのか、まだ未知の状態で混乱しています。まだまだほとんどの学校では、統合政策の名のもとで学習障害があっても、普通教室で学習しなければいけないので、先生たちはそういう子たちの対応に追われています。そのため、一クラス50人規模の授業でそういう子たちのケアと授業を同時に進めることは非常に難しいことです。


さらに、児童の態度についても印象深かったです。子どもたちの授業の態度はよく、先生にしっかり従っています。UNRWAでは、5年前に体罰が禁止されるようになり、それから子どもたちは、先生が体罰をしないことを知っているため、授業で悪さをするようになりました。これをコントロールするのは非常に大変です。実際、体罰ができないために先生がコントロールできず困っているという問題は実に深刻です。生徒の保護者は、体罰を与えるように学校に訴えますが、学校は新しくできた方針を守らないといけないので、両親との乖離もあります。子どもたちは、家では体罰をうけても、学校では体罰をうけないので、学校では開放的になり自由気ままにわがままになります。今後、こういう子どもたちにたいしてどのように対応すべきかが課題になっています。


→この質問、疑問に対して北小学校での3つの取り組みを校長先生と野先生が答えてくれました。
(1)生徒の学習共同体(Learning community)を作る。子どもたちが仲間に迷惑をかけたくないとか、協力してやることの大切さ、共に充実感や失敗を共有することを体験させることで、他者との学習の方法を学ぶように促進している。
(2)教師の工夫
学習に集中できない子たちはいつも動機(モチベーション)に問題があります。そのため、学年の先生たちが集まって、どのように生徒たちの動機付けをするか、また、どのように勉強したくなる学習環境を整えるのかについてについて議論し、工夫をこらしています。
(3)教師の協力
一人の先生だけでやるのは大変なので、先生同士の協力によって様々な工夫されています。
3時間以上のディスカッションの時間をもち、ハムゼにとっても非常に有意義で、日本の学校を知るいいスタートを切れたのではないでしょうか。

寝屋川市北小学校訪問


今日は、初めての学校訪問でした。
今日訪問したのは、寝屋川市立北小学校です。

北小学校は2005年から韓国との交流学習を実施しており、関西大学とずっと連携して研究・実践をしてきた学校です。校長先生が非常に理解があり、今回ハムゼの学校見学に関しても非常に協力的で、朝から夜の7時まで授業見学からディスカッションまで付き合ってくださいました。

まずはじめに、北小学校についての概要を説明してくださいました。
ハムゼは、学校のシステムの違いがUNRWAの学校とはだいぶ違うので、校長先生と熱心に30分ほど質疑応答をしていました。

それから、1年生から6年生まですべての授業を見学しました。見学したのは、一クラス10分から15分程度なので、先生の教え方や内容については十分に観察できませんでしたが、1年生から6年生までの授業の全体的な流れを理解することができたと思います。今後の学校見学では、今回の授業見学で興味をもった点についてしっかり観察とディスカッションを繰り返したいと思います。

今回学校見学の際に、授業観察ワークシートを持っていきました。
①授業スタイル(Learner Center ApproachかTeacher centered approachか。Knowledge based か how to learn based か)
②UNRWAと日本の学校の違い
③学習環境について(A.視聴覚メディアについて B.教材について C.掲示物について D.レイアウトについて)
④ケラーの動機付けモデル(ARCSモデル)の視点から授業を観察して気付いた点
⑤Bloomのタキソノミーの視点から授業を観察して気付いた点
以上の5点について記述してもらいました。詳細については、また報告したいと思います。

[ハムゼの感想] 
詳細はのちに・・・

2007-09-10

UNRWAの職場に電話


今日で、ハムゼが来日してちゅうど一ヶ月がたちました。

今日は、彼の職場の仲間や上司にSKYPEを使って電話をしました。

この1ヶ月間ほとんど職場の人と連絡をとっていなかったので、ひさびさに同僚の声を聞いてすっかり元気になっていました。また、上司から激励の言葉をもらい、非常に嬉しそうでした。日本にきて1ヶ月、だいぶ慣れてきた感じはありますが、職場の人とのコミュニケーションも忘れずにしっかりするように促すべきだと思いました(反省)。(上司が”どうしてすぐに連絡をくれないのだ”、と心配していたそうなので)。忙しいを理由に大事なことを忘れないように、初心に戻ってコーディネートしたいと思います。

シンキング・ツールの冊子作成


今日は、シンキングツールの冊子作成に集中していました。

ホームステイの後で少々疲れているようでしたが、非常一生懸命とりくみ、7時過ぎまで作業をしていました。ハムゼの集中力と熱心さには脱帽です。

一方、NPOスタッフは、明日から始まる学校見学のためのワークシートや、ディスカッションのための資料を準備しました。ハムゼは非常にモチベーションが高く、興味関心の領域が広いため、彼のニーズに応えるためにも、スタッフも必死です!!!しかし一緒に勉強できるので学ぶことは多いです。このように切磋琢磨しながら、この2ヶ月の研修をすばらしいものにできればいいなと思います。

2007-09-06

プレゼンテーション研修(ふりかえり)


【ハムゼの感想】

このワークショップでは、”どのようにいいプレゼンテーションを作るのか”について、事例をもと(UNRWAの先生が作ったもの)”をディスカッションし、意見を交換することによって、明確に何を注意しなければいけないかを理解することが出来ました。

今回よかったことは、ディスカッションだけではなく、具体的にUNRWAの先生や生徒に配布できるようなプレゼンテーションに関する教材をつくれたことです。

プレゼンテーションについては、私もずいぶん既に知っていましたが、今回このワークショップに参加して非常に勉強になったことが2点あります。

1つは、チームで一緒に活動することで、どのように他者と一緒に活動すべきなのかということを学びました。たとえば、何か意思決定をするとき、他者の意見を尊重し、全員が合意するまで話し合うこと、少しでも不明確なことがあれば、それが明確になるまでしっかり調べ、話し合い、明確にしようとすること、何かを制作する際には、時間をかけて計画し、準備し、そしてPLAN-DO-SEEを何度も繰り返して、ミスが内容にすることなどです。私は一度教材が完成したとき、これで終了したと思いました。ところが、内容を何回も確認し、ミスがあればもう一度修正し、確認し、という繰り返しのプロセスを経て、教材がどんどんよくなっていくのを体験し、チームで一緒に活動すること、そして時間をかけてしっかり見直すことの大切さを学びました。

2つめは、このようなワークショップをする際、臨機応変な対応に対してもしっかり準備をするということです。1日目が終了し、教材を作るということになったとき、私は、他のメンバーは時間になって家に帰ったと思っていました。ところが、明日のワークショップのために、7時まで残って準備をしているのをみて、その姿勢に感動しました。これまでは、ワークショップをする際、準備はすぐにしてしまっていたのですが、しっかりみんなで話し合って、準備するという姿勢は非常に印象的で勉強になりました。

本当に、一緒に活動してくれた魚住くん、ショウガミネくん、さきえさん、のぶさん、ありがとうございました。

→この感想をワークショップの最後に聞いたとき、この研修で最も重要としている「学習者中心型アプローチ」のコンセプトをハムゼが理解してくれるようになったと思いました。他者との協働を通して、学ぶということを、これまでは、頭では分かっていても、なかなか体験し理解していなかったと思います。今回プロゼンテーションについての明確な理解と共に、LCAを通してそのコンセプトを理解し、実体験してもらえ非常に良かったと思います。

2007-09-05

ホームステイ

9月7日、8日、9日の3日間、ハムゼは、大阪府が企画してくれたホームステイに参加してきました。
はじめは、行きたくないとずいぶん気持ちが進まないようでしたが、3日間が過ぎた今日話をきくと、とても楽しく過ごせたようです。

初日は、大阪府が日本食(てんぷらなど)の作り方を教えてくれ、その後ホームステイ先の松原へ。
ユニバーサルスタジオにいったり、中国展に参加するなど有意義な時間をすごしたようです。

今日からは、シンキングツールの冊子をつくるのに精をだしています。
NPOスタッフは、明日からはじまる学校訪問にむけて事前準備と、ディスカッションのための教材つくりで一日を過ごしました。

2007-09-04

プレゼンテーション研修(2日目)


9月3日、4日とプレゼンテーション研修を行いました。
学部生の魚住(かちょ)が中心となり、メンバーが足りないということで急遽、正ヶ峯(ガミネ)、大村(さきえ)、田中(ノブ)の3人が緊急参戦状態で始まりました。3日の午前の段階では英語ということもあり、緊張した状態。お世辞にも雰囲気が良いとはいいにくい形となりましたが、まこさんからの助言もありeducation materialを作成することになりました。昼食で打ち解けた後は、全員で上手なプレゼンのポイントを押さえ冊子の作成を開始・・・。しかし、のってきたところでタイムアップ!!学部生だけで次の日の準備。
4日はかちょ・ガミネ・ハムゼの3人で冊子作成の続きを行いました。シリアでも使われる教材ということで画像なども多く盛り込んだものにしていくため、イラストレーションに写真を取り込んだり、色や絵を使って見やすくしていきました。何回も見直しをし、全体のレイアウトを確認して完成したときには外も暗くなっていましたとさ。。。

魚住の感想
普段からプレゼンについて教えることは多いですが、国際交流という分野で初めて関わったことで、自分に足りない部分が多く見えました。準備にしても、進行中にしても、いろいろな人に助けられたため最後まで行えたのだと思います。一日目に予定通りにはいかないことがわかった時点で、二日目の準備をしなければならないときにメンバーが時間を気にせず残ってくれたり、要所要所でアドバイスをくれたマコさんや今野さん、最後まで共に作成してくれたハムゼさんなどに助けられ、やりきることができました。とても有意義な時間でした。このような機会を与えてくださったマコさん、今野さんには感謝しきれません。ありがとうございました。またハムゼさんが、共にワークショップを行いましょうと言ってくれたため、またそのような機会を設けて行ってみたいと思います。今回反省したことを忘れず次に生かして・・・。

正ヶ峯の感想
大学…特に今のゼミに入ってから良く思うことが、「こんな経験が出来る機会なんて普通無いで…」ということです。今回もまた、自分から動き出さない限り到底出会えそうもない機会を緊急参戦という形ながらも得ることが出来た。それだけでもう奇跡ですよ。ディスカッションの中で学ぶことも多いけれども、そうした活動の中で自分がどんな行動を取り、またどんなことを考えるのか…そんな自分を見つめることもまた学びになります。マコさんと今野さん、ハムゼさんが、時々かけてくれるアドバイスや提案…その中にも、自分にとって新たな発見になるような言葉が含まれている。「与えられたチャンスは逃がすな」という事に、こうした活動に参加するたびに強く共感させられます。同時に海外の方々の持つ今までの自分に無い視点や優しさにも。そうしたことから、今回も充実した気持ちで帰宅することができます。また少し、豊かな人間に近付かせていただき、ありがとうございました!

報告:魚住 東至明・正ヶ峯 広朗

2007-09-03

プレゼンテーション ワークショップ(1日目)


プレゼンテーション研修では、パワーポイントの使いかた(SKILL)ではなく、①どのようなプレゼンテーションが視聴者にとっていいのか、②プレゼンテーションを使ったプロジェクト学習の2つの内容について行った。

本ワークショップは、大学4年生の魚住くんが中心になって準備をしてくれた。その理由として、彼と彼らのチームは高等学校の教科情報でプレゼンテーションを利用したプロジェクト学習を2年以上経験しており、彼らの知見が今回のワークショップに有益だと考えたからである。

1日目は、どのようなプレゼンテーションが視聴者にとっていいのかについてディスカッションを中心に行った。

まずは、UNRWAの先生が作ったプレゼンテーションを全員(大学生、大学院生6人)で観察し、PMIシートにPlusポイント、改善する点(Minus)、興味深い点(Interesting)の3点について議論しました。

その中で特に興味のあった部分は、子どもたちの個人写真を利用する際に保護者や生徒の許可をとったのか、という点に関して、ハムゼから「これは文化の差異を考えさせられるものだ」という意見がでました。シリアでは、子どもたちの個人写真を使うということは、子どもたちの動機付けにつながる。」ということでした。

日本で考えられている内容や方法が必ず正しいのではなく、社会・文化的な視点から物事をとらえ、すべての活動や考えに対して異なる意味や価値があることを考慮してワークショップをしていかなくてはいけないということに気づけたのではないだろうか。

※今日から研修に参加してくれた院生や学部生にも振り返りシートをかいてもらうことにした。もちろん私も。そうすることによりこの研修が学部生や院生にとっても学びの場であることが確認できるだろう。(Situated Learningの視点から)

報告:岸 磨貴子

ICT教育についてのディスカッション


午後3時から夕方7時まで、大学院生(田中、金、鎌田、盛岡、今野、岸、澤田)と一緒に、ICT教育についてディスカッションしました。ちょうど明日から大学院生のほとんどが国際学会に参加し、自分たちの研究テーマについて報告します。そこで、そのためのリハーサルとハムゼとの情報共有と2つの目的でこのディスカッション会を設けました。


ディスカッションテーマは、大学院生が今研究しているテーマで、メディアリテラシー、国際交流学習、プロジェクト学習(問題解決型学習)、内発的動機、高等教育における授業支援の試み、評価支援ツールとハムゼにとって自分の専門分野であったり新しいテーマであるため非常に有意義な議論ができたと思います。


ハムゼは、教育のフィールドで非常に豊かな経験があるため、ディスカッションは白熱し、非常に意味のあるものだったと思います。英語という言語による問題はあったものの、通訳を少し交えながら、しっかり内容について吟味することができたのではないでしょうか。


今回のディスカッションについては、ハムゼに理解してもらうために院生が試行錯誤しながら説明しようとしたところにも非常に意味があると思います。少しでも不明確なところがあると、質問されるので院生も自分が明確に理解していないところをしっかり把握できたのではないでしょうか。


報告:岸 磨貴子


2007-09-01

Learner Centered Design


今日は、田中くん、笹尾君、今野君、岸の院生4名トハムゼで、「Learner Centered Design」についてディスカッションしました。ディスカッションのテーマであるLearner Centered Designは、ケンブリッジが出しているLearning Science(学習科学)の参考文献からピックアップしました。

今日のディスカッションで議題になったのは、
1)Scaffolding ヴィゴツキーの最近接領域理論から、実際にどういうScaffoldingがあるのかについて具体的な例をだしてディスカッションしました。
2)ICTが学習者中心に果たす役割について
3)内発的動機と外発的動機について またそれとScaffoldingの関係性について
4)活動理論とConflictについて
5)協調学習のコンセプトについて
6)Scaffolded Knowledge Integration Frameworkの4つのmetaprincipleについて

この論文には学習科学の重要なポイントがたくさん入っているので、1時から3時までの2時間のディスカッションでは十分ではないと判断し、次回は、9月11日の午後7時から再度このテーマについて議論することにしました。次回は他の院生(盛岡くん)や久保田先生にも入ってもらい、理解を深めたいと思います。

報告:岸 磨貴子