2007-09-27

プレゼンテーションは授業かどうか(慶應義塾湘南・藤沢中・高等部)


今日は、”プレゼンテーションは授業かどうか”について、岸、植野、田邊先生そしてハムゼの4人で2時間以上ディスカッションしました。全員が自分の主張と相手のことを理解しようと必死で、だいぶエネルギーを消耗した感じはありましたが、非常に有意義なディスカッションができました。ハムゼの言葉を借りれば、”知識というものはディスカッションの中で構築され、強化される”そのものを全員が実感したと思います。

ディスカッションのきっかけは、今日の午前の4コマの授業でした。
1時間目は、45分間ハムゼが一人でしゃべりっぱなしで、3割ほどの生徒が集中できずにいました。そこで2時間目からは、岸、田邊が授業のデザインを以下のように修正しました。
1)田邊先生がウォーミングアップとして、今後生徒たちが取り組む課題について説明、確認させる。
2)岸は、3人一組のグループをつくり、それぞれのグループから1つずつ質問をだすように促す。質問をする前段階の動機付けとして、ハムゼ氏がパレスチナ難民であること、ハムゼ氏は国連で働いていること、パレスチナ問題について簡単に説明し、その後ある程度生徒が食いついてきたところで、グルーピングし、質問を考えさせた。
3)その質問に対して、ハムゼが英語で答える。その際、田邊先生が通訳兼生徒が分かりやすいように情報を補足、岸は、ハムゼが話している内容に該当する写真をスクリーンに映し出し、さらに、ハムゼが話している内容を(通訳し)瞬時にタイピングし、テキスト情報としてスクリーンに映し出した。

このような流れの中で、以下の点についてディスカッションすることになりました。
①生徒に動機付けさせるにはどうしたらいいのか。
②プレゼンテーションは授業かどうか
→プレゼンテーションは授業ではない、というハムゼの主張に対して、「プレゼンテーションや講義も授業の一環として捉えることができる、つまり、学習者中心のアプローチ(LCA)だけが授業ではない」、という私たちの主張がぶつかりました。ハムゼは、すべての授業に、プレゼンテーションやグループワークは必ずいれなければならないと言い張り、私は、「授業をデザインするのは、方法が前にあるのではなく、目的がある上で、それを達成するために最も適した方法をとるべきだ」と主張。

私が思うに、ハムゼの頭にはまだプログラム学習のように、A→B→Cというステップをふむことが重要でその枠組みで”授業”を捉えているように思います。様々な活動を盛り込むことで、生徒を集中させることとができるとハムゼは言いますが、方法が動機付けを促すのではないと私は思います。こうしなければいけない、という枠組みに縛られて、生徒をみない授業ではなく、生徒と教師の相互作用の中で授業というものは作られいくことが必要になります。こういうLCAのコンセプトでここをしっかり理解していないと、形だけのLCA実践になってしまう恐れがあります。実際、この点について改善していかなくてはいけない課題なのですが。ハムゼの視点をよりもっと理解し、その社会的・文化的背景を考慮しながら、UNRWAという学校文化に適応したLCAの形を追及したいと思います。

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